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第56話 待ち伏せ ②
いつか言わなければならないと思っていた
『ごめんなさい』
と、
『さよなら』
今、その時が来たんですね。
「先輩、俺……」
「好きだよ、晶……」
晶の声を遮った神谷の言葉は、晶にとって意外なものだった。
『好きだよ、晶』
それってどういう意味?
わからない、
わからない‼︎
俺、嘘ついたんですよ‼︎
最低な…
それなのに…
あ、先輩は俺を試されてるんですね。
先輩に『好きだ』と言われても、本当のことが言えるかどうか…
「俺、俺は……」
緊張のあまり晶の口はカラカラになり、言葉がうまく出てこない。
「晶、もういいよ。それより学校行こう。遅刻しそうだ」
神谷は晶の前を歩き出し、晶はその背中を見つめるように無言のままついて行った。
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