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第60話 別れ ②
「認めない‼︎」
「先輩が認めてくれても、認めてくれなくても、俺は先輩と別れます。先輩に言ったのは……」
言ったのは…………
俺のケジメだ。
自分勝手なケジメだ。
クズで、最低な俺が、どれだけ最悪なことをしたか、忘れないように…
「感謝の気持ちです。大切にしてくれてありがとうございました」
晶が神谷を押しのけようとすると、
え?
ぽたぽたと晶の顔に雫が落ちてくる。
「先輩…、泣いてるんですか?」
下唇を噛み締めながら、涙を落とす神谷の頬を晶が触ろうとしたが、途中でやめた。
「怒ってる。怒りすぎて涙が出てるだけだ」
「…」
「なぁ、アレは嘘だったのか?」
「…」
「俺の事、何度も何度も『好き』だって言ったのも、『俺がいないとダメな身体にしてください』って言ったのも、全部…」
神谷の切なく苦しい声が、
震える体が…
悲しみが神谷を覆い尽くしていく。
!!!!
嘘なはずないじゃないじゃないですか‼︎
全部本心です‼︎
本心で、心から零れ落ちた言葉達。
でも今は……
「はい。嘘です」
ダメだ……
俺の心が死んでいく…
何も感じなくなっていく。
冷たくて、冷たすぎて、
痛くて、激痛が走る。
でもいいんだ。
心が、
気持ちが死んで、
これから先、何も感じなくなっても、
先輩との思い出があれば、それで…
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