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第70話 手紙 ②
ー晶へー
誕生日パーティー、どうだった?
俺、こんなに楽しいパーティー企画初めてだったよ。
企画段階から、先輩が晶に告白した後、先輩と晶が2人して照れながら、お互い『よろしくお願いします』って言ってるところを想像してしまって、ニヤニヤが止まらなかったよ。
俺からのプレゼント気に入ってくれた?
もしも気に入らなくても、絶対『気に入った』って言わせるから‼︎
え?
『プレゼントのお返ししたい』って?
そんなのいいよー。
でも晶がどうしても って言うなら、先輩とそこでデートした時の写真、写メで送って。
幸せそうな2人を、ニヤニヤしながら見ておくから。
あと、どうして神谷先輩、毎回晶に電話かけてきてたから知ってる?
あれってさ、俺がなかなか電話に出ないからじゃないんだ。
晶に電話かけたら、絶対はじめに晶が電話に出るだろ?
だから俺に電話するって言うのを口実に、晶に電話かけてたんだ。
先輩それぐらい晶の声、聞きたいんだって。
『そんな事するぐらいだったら、直接晶に電話かけたらいいのに』っていったんだけど、『用事がないのに電話かけるのは、恥ずかしい』って。
それでも1日何回も晶の声、聞きたくなるんだってさ。
晶、愛されてるね。
晶。
俺、晶がゲイだって事も、先輩の事好きだって事も、先輩と俺が付き合ってるって勘違いしてる事も、全部わかってたよ。
どれだけ一緒にいると思ってるんだよ。
でもさ、晶が言いたくない、聞いてほしくないって思ってる事は俺からは問い詰めたくなかった。
前、俺が先輩に中庭に呼び出されてただろ?
あれって先輩に『晶のこと好きだから色々教えてほしい』って頼まれてたんだ。
だいぶ前から晶が神谷先輩のこと好きだって知ってたから、『是非協力させて下さい‼︎』って言ったら、感極まった先輩が俺に抱きついてきて…
あれはびっくりしたなー。
晶が俺と神谷先輩の事勘違いしてるのに気がついて、先輩と付き合ってないって言おうとした時、先輩から
『晶の誕生日に告白したいから、協力して欲しい』って言われて、本当に嬉しかった。
…と、言いたい事はまだまだ沢山あるけど、これ以上長くなると、読んでる晶も大変だと思うから、とりあえず今日はここまで。
晶、本当によかったな。
先輩と幸せになって。
それでさ、たまに俺とも遊んで欲しいな。
ー長谷部薫ー
薫からの手紙の上に、ぽたぽたと雫が落ちる。
手紙が汚れないようにと、晶は涙を拭うが追いつかない。
涙を堪えるが、止まらない。
目の前が涙で歪み、薫の癖の少しある字も滲んで読めない。
晶は薫からの手紙を、何度も何度も読み返す。
そうすると、薫が晶のそばで話しかけてくれてるようで…
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