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第11話 はじめての朝 ①

バタン… ベットで眠っていた真司だったが、ドアが開き、誰かが部屋の中に入ってきた気配を感じた。 「真司…おはよ…起きて…」 愛しい人の声と共に、チュッと額にキスをされた感覚があった。 「…ん…」 目を開けようとしたが、日の光が眩しく目が開かない。 「真司のリクエスト通り…サンドイッチだよ」 吐息まじりに耳元でささやかれ、真司のビクッと体が反応し、完全に目が覚めた。 ……サンドイッチって言われただけなのに…… 「蓮…その言い方、ずるい…」 「でも、そうした方が真司すぐに起きるだろ?」 クスクスと笑いながら、蓮がもう一度真司の額にキスをした。 真司はそのまま蓮をベットに引っ張り込もうとしたが、その考えさえ蓮に見透かされていたのか、蓮はするりと避ける。 「早くしないと、仕事に遅れるよ」 「う…」 「キッチンで待ってるから、用意できたら来て」 「うん」 「二人でゆっくり朝食、食べよ」 微笑みながら、蓮は部屋を出ていった。 真司はのそのそとベットから起き上がり、蓮が綺麗に洗濯し、アイロンをかけてくれていたシャツに手を通しながら、今ある幸せを噛み締めていた。 真司は昨晩、蓮と結ばれ、付き合うことになった。 蓮にちゃんと自分の気持ちを伝えられ、蓮も同じ気持ちだったことが嬉しくて仕方ない。 あの後、真司と蓮は抱き合いながら色々話をした。 そして、その時に『二人の時は敬語は使わない』と決めた。 初めて名前を呼び合ったときは、お互い恥ずかしくて赤面してしまい、その姿が面白くて笑い合った。 仕事の事や家族の事など話したのに、自分は蓮と釣り合っていないのではないかと、自信がもてない真司は肝心の 『どうして蓮が俺のことを好きになったのか…』 は、どうしても自分から切り出すことは出来なかった。

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