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第48話 松野の気持ち

真司はタクシーを止めた。 「松野、家どこだ?」 「先輩の家ー」 松野は酔っ払い、ちゃんと答えてくれない。 仕方ない… 「松野、免許証見るからな」 財布から松野の免許証をとりだし、住所を運転士に伝えた。 家の前まで着くと、引きずるように松野をマンションの部屋の前まで連れていくと、鞄の中から鍵を取り出し中へ入った。 松野の部屋も真司同様、綺麗に整頓されいた。 「松野‼︎起きろ。着いたぞ‼︎」 真司が松野をベットに運び込んでから、起こそうと何度か声をかけると、やっと松野が起きた。 「おい、松野。俺帰るから、ちゃんと水飲んで鍵閉めてから寝るんだぞ」 途中で買ったペットボトルの水を松野に渡そうと真司が手を伸ばすと、その手を松野がグッと自分の方へ引き寄せ、真司を抱きしめる。 「‼︎」 真司は驚いて目を見開いた。 「なんでなんですか…」 「松野?」 真司は驚きで状況が把握できない。 「俺だって…好きなのに…」 「え?」 「俺だって好きなのに…先輩のこと…」 「‼︎」 松野の切なそうな声が真司の頭に響く。 「俺の方がずっと前から…」 真司を抱きしめる松野の手に力が入る。 まさか松野がそんな事を思っていたなんて… 「ごめん、松野…俺…」 真司が言いかけた時、 「俺諦めませんから」 松野は今まで見たことのないような真剣な眼差しで真司を見つめる。 「俺、先輩が俺のことを、好きになってくれる事なんてないって諦めてたんです。でも、これからは諦めません。絶対先輩に認められるようになります。だから、その時は今みたいじゃなく、ちゃんと告白させてください」 真司をきつく抱きしめていた腕を松野は離した。 「今日は迷惑をかけてしまって、すみませんでした。こんな事、もうしませんし、蓮さんとのことも誰にも言うつもりありません」 「…ごめん…」 真司はそう言うしか、できなかった。

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