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第49話 蓮の気持ち ①

タクシーに乗り込んだ真司は気持ちの整理をするため、しばらくその辺りをただ走ってもらい、蓮のマンションに帰ってきたのは、日をまたいでいた。 「ただいま」 鍵を開けて入ると、部屋の中は真っ暗だった。 蓮、もう寝たのかな? 蓮は部屋に帰ると連絡をくれると言っていたが、真司の携帯にはそのメッセージはない。 もしかして、まだ仕事? 心配になって真司は蓮に電話をかけると、寝室の方から蓮の着信音が聞こえてきた。 「蓮?いるのか?」 そっと心室のドアを開けると、暗がりの中、服も着替えずにベットに座り、顔をうなだれている蓮の姿があった。 「‼︎蓮‼︎何かあったのか⁉︎」 今まで見たことのない蓮の様子に真司は慌て、駆け寄る。 「……」 蓮からは何も返事がない。 「何かあった?」 真司は蓮と同じ視線になるように跪き、蓮の顔を覗き込む。 「……」 蓮の口は頑なに閉じられたままだった。 「蓮、どうした?教えてくれないか?」 真司は蓮の首に腕を回し、蓮を抱きしめた。 「…真司は…松野さんと飲みに行ってたんだろ?…」 蓮がぽつりぽつり話し始めた。 「ああ。さっき送ってきたところ」 「松野さんはなんて?」 蓮は真司の背中に腕を回す事なく、ただ顔をうなだれたままだった。 蓮は今朝のこと気にして… 蓮がこんなに落ち込むなら、あんな事するんじゃなかった‼︎

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