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第72話 蓮の過去 ⑨
「父は昔からは同性愛者に対しての嫌悪感があった人だから、当然激怒されてね。まだ同性と付き合うなら、もう家には帰ってくるなって…椿はお兄ちゃんっ子だったから、俺が椿と一緒にいることよりも、俺が同性愛者だってことを認め、実家に帰らない事を選んだ俺が許せなかったと思う」
「うん」
蓮はその時を思い出したように悲しそうな目をしている。
「椿から何度か説得の電話がらあってその度に俺も『椿のことが嫌いになって家を出たんじゃないい』って伝えたんだど、納得がいかなかったみたいで、それで今回俺に直接話をしに来た…それが全てだよ」
「そうだったんだ」
俯いたまま顔を上げない蓮の頭を真司がポンポンと叩き
「話してくれて、ありがとう」
真司が蓮をぎゅっと抱きしめた。
真司に抱きしめられた蓮はまだ目を伏せたまま。
「真司は怒らないのか?前、林さんや大山くん達に真司のことは、飲み友達って言ってるのを真司に黙ってたり、今回のことだっていってなかったのに」
「どうして俺が怒ると思う?蓮は会社の人に、飲み友達って言ったことにも理由があったんだろ?」
「…言い訳になるかもしれないけど…本当はちゃんと真司と付き合ってるって言いたかった。でも、そんなことをして、もし真司を見る目周りの目が変わってしまったら…と思うと言えなかった」
「ほら、ちゃんと理由があって、それは俺を守るためだったんだろ?だったら、怒るところなんてひとつもないじゃないか」
「!…本当にごめん。真司…」
「俺こそ蓮が一番傷ついてい時に、取り乱してごめん」
真司は震えながらも、懸命に話してくれた蓮のことを守っていきたいと心から思った。
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