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第76話 大人の… ②

「真司、手紙が入ってる…」 箱の隅に四つ折りに折られた紙が入っており、真司はそれを蓮から受け取り開くと、 『佐々木、俺からの引っ越し祝いは喜んでもらえたか?   ジェルは大きいサイズを入れておいたから、一緒に使ってみるのもいいかもな。  野宮』 「野宮のやつ‼︎」 手紙を握り締めたまま真司が叫んだ。 「ごめん、蓮」 「………」 蓮は黙ったままだ。 怒っただろうな… そりゃ怒るだろうな… 「……」 蓮が俯いたまま、しばらく沈黙が続く。 「ごめん。嫌な気持ちにさせて…これ、見えないところにしまっておいて、野宮には悪いけど捨てておくよ」 箱の蓋を閉めようとした真司の手を蓮が止めた。 「いいよ…使っても…」 「え?」 「真司となら使ってみたい…」 蓮は顔をあげない。 「でも蓮…こういうの嫌なんじゃないか?」 「真司となら…いい」 蓮が顔を真っ赤にさせながらゆっくりと顔を上げ、真司の手を握った。

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