76 / 118
第76話 大人の… ②
「真司、手紙が入ってる…」
箱の隅に四つ折りに折られた紙が入っており、真司はそれを蓮から受け取り開くと、
『佐々木、俺からの引っ越し祝いは喜んでもらえたか? ジェルは大きいサイズを入れておいたから、一緒に使ってみるのもいいかもな。 野宮』
「野宮のやつ‼︎」
手紙を握り締めたまま真司が叫んだ。
「ごめん、蓮」
「………」
蓮は黙ったままだ。
怒っただろうな…
そりゃ怒るだろうな…
「……」
蓮が俯いたまま、しばらく沈黙が続く。
「ごめん。嫌な気持ちにさせて…これ、見えないところにしまっておいて、野宮には悪いけど捨てておくよ」
箱の蓋を閉めようとした真司の手を蓮が止めた。
「いいよ…使っても…」
「え?」
「真司となら使ってみたい…」
蓮は顔をあげない。
「でも蓮…こういうの嫌なんじゃないか?」
「真司となら…いい」
蓮が顔を真っ赤にさせながらゆっくりと顔を上げ、真司の手を握った。
ともだちにシェアしよう!