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第98話 すれ違う2人 ⑤

待ち合わせの店に先についていた野宮と真司は合流し、適当にアテを頼むと、野宮と乾杯をした。 「お前、いっつも急なんだよ。俺に予定があったらどうするつもりだったんだよ」 「野宮、今日予定あったのか⁉︎」 そこまで考えられてなかった! 真司の慌てっぷりを見て、野宮が笑う。 「なんで笑うんだよ」 「お前、焦りすぎだぞ。ないよ、ない。予定なんてなかったから大丈夫。ちょっとからかっただけ…」 「野宮の冗談、面白くない」 真司はビールをグイッと飲み干す。 「お前のそういうところ、面白いよな…で、お前またケンカでもしたのかよ…」 「ケンカはしてないんだけどさ…」 「ケンカしてないのに、なんでここで俺と飲んでんだよ…」 「それは…」 真司が言葉を濁すと、 「言えるようになるまで、とりあえず飲めって」 野宮がどんどんビールを勧めてきた。 真司も蓮とのモヤモヤを消し去るように、出されたビールをどんどん飲み干す。 真司は昼から何も食べておらず、空きっ腹にビールを立て続けに何杯か飲み干したので、いつもより早くに酔いが回った。

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