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第106話 蓮の本当の思い ⑤
真司は小さく震える蓮を抱きしめる。
「なぁ蓮…俺が一緒にいてくれって言っても、別れる方を選ぶのか?」
「…別れたくない…別れたくないけど、そうするのが真司にとって一番じゃないか…」
蓮の声は弱々しく自分自身に言い聞かせるようにも言っているように聞こえた。
「蓮、一つお願いがあるんだ…」
真司は抱きしめた蓮の顔がしっかり見えるように、体を少し引いた。
「俺にとって一番だと思う事は、俺に決めさせてくれないか?」
「‼︎」
真司の言葉を聞いて、蓮が目を見開く。
「蓮が俺を思っての気持ちは嬉しいよ。でも、それが俺にとっての一番だとは限らない」
「…」
「俺にとっての一番は蓮とずっと一緒にいる事で、他はどうでもいい事だよ」
「でも、それじゃあ真司の子供は…」
「ほら、また蓮が決めてる。俺は蓮といれたらそれでいい」
「…」
まだ不安そうに真司を見つめる蓮の瞳が揺れている。
蓮、そんな顔をしないでくれ…
俺は蓮にはいつも笑っていて欲しい…
だから…
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