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第114話 穏やかな日々

次の日の朝は、真司は蓮より早く起き、二人分の朝食を作っていた。 「真司、おはよう。俺が起きるの遅くなってしまってごめん…」 蓮が申し訳なさそうにキッチンに入ってくる。 「気にするなよ。いつも蓮に甘えてばかりは俺の方だし。簡単なものしかできなかったけど、一緒に食べよう」 真司はコーヒーメーカーからコーヒーを取り出して、蓮に手渡すと、 「ありがとう、真司…」 蓮は少し照れながら笑う。 久しぶりに見た蓮の笑顔はとても眩しく、真司は心からの幸せを噛み締めた。 「真司、お母さんの事なんだけど、俺、真司のお母さんに会いたいよ」 「蓮、会うのはいつでも会えるから、また今度にしよう」 蓮が真司の母親との話を切り出すと、真司はそれを断った。 「どうして?」 「もし蓮がよかったら、俺は母さんに会うより、その日は蓮と一緒にゆっくり過ごしたい…また母さんに会うのは、旅行がてら俺の実家に行ったらどうかと思って…」 蓮は真司の提案に少し驚いたが、 「俺も真司とゆっくり過ごしたいし、真司のお母さんに会いに真司の実家に行ってみたい」 蓮は嬉しそうに微笑んだ。 そして、二人とも仕事で忙しくてしていたが、真司と蓮の穏やかな日々が過ぎていった。 一緒に料理をしたり、買い物に行ったり、映画を観たり、肌を重ね合ったり… 色々と心配をかけた梓には、蓮と真司が婚約した事を報告した。 同性同士の恋愛で、二人不安なことが多かったが色々な事を乗り越え二人で解決し、これからもさまざまな事が起きるかもしれないが、愛する蓮と共に過ごせるこんな日々が続くかと思うと、真司は幸せでたまらなかった。

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