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ユウヤ12cm(28才)
オレの仕事はいつもメールが届くことから始まる。
オレを尺八屋として担ぎ出し今はエージェントを気取るようになった金融機関に勤める男が、そのネットワークから顧客を見つけ出し信用調査の末に良筋と認めた相手のみをオレに紹介する。
オレの好みと相手の信用、健康状態や資力など精細に調べ上げた顧客に今のところハズレはない。
その点ではオレはアイツを信用している。
オレは労せず新たな竿を尺り、アイツはなにがしかの利益を得ている。
それでかまわない。
オレが求めているのは財を成すことでもアイドルになることでもないのだから。
今回の顧客のプロフィールを確認する。
27才。未婚。身長172。体重68。
顔写真も添付されているが肝心なのは竿であって見た目ではない。
ふんわりと分けた七三に今どき風のメガネ。
少し遊び心を感じさせるスーツ。
チャラリーマンといったところか。
約束は次の水曜日、19時に新宿副都心のホテルにて。
初回の相手は一発コースに限定している。
時間制は採用していない。
一度精を吐き出して回復する見込みのない竿をダラダラと尺るのは主義じゃないからだ。
逆に、何度達しようとすぐに回復して精を吐き出し続ける竿ならば何度でも尺ってやれる。
それゆえオレは回数で契約を結んでいる。
前回の仕事からのインターバルは一週間。
そろそろ尺りたい頃合いだ。
期待せずに水曜日を待つことにしよう。
水曜日。
約束の時間の少し前に指定のホテルのラウンジに着く。
いつもならフロントで客の部屋番号を案内され自分で部屋まで行くが、今日はラウンジで待つ。
時間ぴったりに整髪料で頭をぴっちりと撫で付けたホテルマンがオレに声をかけてくる。
「お客様をお待ちの方のお部屋までご案内します」
なかなか趣向がきいているじゃないか。
壮年のホテルマンの後につき、エレベーターに乗り込み辿りついたのは一般客は足を踏み入れることのできない会員エリアだった。
ピンヒールでも足音を立てないであろう毛足の長い絨毯を踏みドアの前で一人になる。
ノックすると密やかな解錠音がなりドアが開く。
写真で見た顔がオレを迎えいれる。
今日もカネのかかっていそうなスーツだ。
「お待ちしてました。さあ、入ってください」
男に招き入れられた部屋は会員エリアの部屋にふさわしく広々としたスイート。
窓からは副都心のネオンが望める。
「さあさあ楽になさってください。ビールですか?ワイン?」
若造のくせに手慣れた所作を。
まあ、オレも人のことを言えるほどの年齢ではないが。
「いいね、ビールをもらおうか」
そして断りもせずタバコに火を点ける。
冷蔵庫から瓶とグラスを取り出されテーブルに置かれると、すぐさま手に取り開栓し注ぐ。
人に酌をされるのは嫌いだ。
「済まないがオレの見てる前でシャワーを済ましてくれ。これはルールだ。あんたが先に浴びてようと関係はない」
「わかってます、そういう約束ですからね。少しお待ちください」
若い客は期待にはちきれそうになって真っ裸で待っていたりもするのだが、コイツは余裕を見せることにこだわりがあるらしい。
そうでなければ若い身空でこんな立派な部屋を用意しないだろう。
タバコをふかしグラスを傾けながらシャワーの音を聞く。
ガウンをまとった男が湯気とともに部屋に戻る。
「早速はじめようか?好みの体位は?」
オレは服も脱がないし歯磨きもしない。
「そこのダイニングの椅子に腰かけますから、足の間に跪いてもらえますか?」
オレの客には珍しくエグゼクティブな尺八をご所望と見える。
それでかまわない。
オレが求めるのは極上の尺八。
コイツの竿がそれに値するかは尺ってみるまでわからない。
腰かけた男はガウンの前をはだけて股を開いて待っている。
すでに竿には十分な血が巡り七分立ちといったところ。
股の間で膝をつく。
まずは両手で袋を捧げもちユラユラとゆする。
若さのせいか竿は直立しそよぎもしない。
袋の上の付け根から蟻の門渡りまでそっと撫でさする。
八分立ち。
十分な勃起を確かめたオレは左手で竿をつまむ。
はっと息を吸い込んだのは男の期待の高まりの現れか。
気持ち手前に竿を傾け、鈴口がオレに向くようにしてからゆっくりとくちを開く。
最初は亀頭をそっとくちに含む。
ぴくんと跳ねる竿。
そのままくちをすぼめながら一度竿を引き抜き離す。
ちゅ、と密やかな音。
唇に先汁が付く。
舌なめずりでそれを拭うと男の鼻息が荒くなる。
今度は唇を閉じたまま亀頭の先に触れ、輪郭をなぞるようにぬるりと亀頭をくちにふくんでいく。
カリで止める。
竿のぴく付きがおさまらない。
舌先で鈴口をちょんと刺激する。
先汁が絡む。
コイツのは少し苦味が強め。
カリにひっかけるように口をすぼめたまま、舌先で鈴口をちょんちょんと刺激する。
たっぷりとした溜息は満足のしるし。
舌先を左右に小刻みに動かし裏筋をねぶる。
反応を見ながられろれろれろれろれろれろれろれろと声を重ねる。
くちをすぼめたまま舌先をくちの中でくるくると動かす。
まんべんなく舌が触れた亀頭が張ってくる。
オレのテンションも上がっていく。
もう一度くちをすぼめながら竿をゆっくりと引き抜く。
すでに本勃ち。
目測で12cm。
無論、大きさの問題ではない。
亀頭がぱんぱんに張り血液が巡って赤黒くなって血管を浮き出させている。
右手で輪を作り竿の根本を握り込む。
オレの尺八から逃れる術はない。
逃れようという気などなく、この後の貪婪な尺八を期待しているのだろうが。
びくびくと跳ねそうな竿を根本からしっかりとホールドし、裏筋に舌先を這わせる。
根本から亀頭の先までつーっと舐めあげては戻り、何度も舌を往復させる。
「うっ、うっ」
早く銜えこんでほしいと目で訴えかけてくる。
そうだろう。
玉のような先汁が亀の先っぽに溢れては溶け出してヌメヌメと照り返っている。
裏筋舐めで本勃ちを確実にさせたら、閉じた唇を鈴口に合わせ顔を左右にプルプルと振るようにして捏ね回す。
先汁まみれの唇がぬちゅぬちゅと湿った音を奏でる。
辛抱たまらんといった表情を確かめ、予告なしに亀頭から竿の中盤まですとんとくわえ込む。
「ほっ♡」
男の顎が天井に向く。
そのままゆっくりと首を動かしストローク。
オレはわざとらしく涎のびちゃびちゃ音など立てない。
ゆっくりとぬーっぬーっとくちびるをすほめながらストローク。
男の吐息がふーっふーっと漏れる。
ストロークを繰り返しながら裏筋に舌を当てる。
クチの中に広がる苦味で先汁の溢れ具合を確かめながらストローク。
オレの中でドロドロとした欲望が渦を巻く。
尺るときにしか味わえない、腰の奥がウズウズするわななき。
そのまま深く銜えこんでほしいとねだられる前に亀頭まで引き返しカリの段差を徹底的にねぶる
ちゅぽちゅぽと間抜けな音がする。
オレの涎と男の先汁のカクテルがシェイクされる卑猥な音。
先程よりも一層亀頭が張っている。
「おっ♡それっ♡やばっ♡おっおっおっおっ♡」
そのままクチのなかでラリルレロラリルレロと声を出しながら舌を動かす。
「うっうっうっうっうっうっ」
とっておきの高速ストロークをお見舞いしてやろうかと考えていたら予告もなくクチの中に男の精が迸る。
「ほっお゛」
びっびっと大きく2回。
舌の上にぽってりとした精の感触。
そのあと小刻みに精を吐き出しようやく収まる。
舌の上に溜まったスプーン一杯ほどの男の精をティッシュの上に吐き出す。
オレの涎と混ざりあい薄いベージュと透明のマーブル模様。
脱力し深く呼吸を繰り返す男を尻目にテーブルのグラスからビールを流し込む。
「たしかに、一発搾ってやったからな」
これで基本的にはオレの仕事は終わり。
このまま帰ってもかまわないのだが、せっかくだからタバコを一服する。
ガウンの前を戻しもせず、放出の余韻で少しふっくらとしつつもしぼみつつある竿をたらりとぶら下げたまま男が問いかける。
「噂に聞いたとおりだ、なんて尺八だ、これに耐えられる男なんていないでしょう?あなた、本当はノンケだって噂、ウソでしょう?」
いつもの質問だ。
どうだかね、と相手にせずタバコをふかす。
実際のところオレ本人にも分からない。
女を抱いた経験はある。
その時にオレ自身も尺られた。
だが、オレの欲望を掻き立て喜びをもたらすのはオレが竿を尺るときだけだ。
犯したいとも犯されたいとも思わない。
ただ尺りたい。
今よりももっと充実した尺八に出会えることを夢想しながら巡り会った竿を尺り続ける。
ふと遊離しかけた意識を引き戻し、男に別れを告げて部屋を後にする。
リピートするかは男次第。
オレの関知することではない。
夜の帳が降りた副都心を歩く。
「終わったよ」
スマホに吹き込む。
「お疲れ様です、どうでした?」
「まあまあ、ってところかな」
余計なことは聞いてこないところがコイツをエージェントとして付き合える理由かもしれない。
スマホをジャケットのポケットに戻し背を丸めながら地下鉄のホームへ急ぐ。
掻き立てられたオレの欲望は早くも落ち着きを取り戻していた。
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