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ダイゴ14cm(26才)
この仕事の顧客はあくまで竿を持った人間なので、所属がどこかとかどんな業界であるかとか役職がどうだとか、そんな些末なことはオレは気にしない。
そいつがぶらさげた竿を尺ることでオレは何を手に入れるのか。
オレの興味はその一点に尽きる。
次の依頼は赤坂の航空系ホテルが現場。
相手の都合で決めているのに過ぎず、オレは場所がどこであろうと尺りのパフォーマンスに影響しない。
今日は珍しく現場のはしご。
何本でもかかってこいとは思うが、商品価値を維持するためにエージェントのアイツが小細工でもしているのだろう。
案内された部屋はホテルの格に相応しく広々として落ち着いた雰囲気だ。
「悪いな、忙しいところ、ラクにしてよ」
オレを待ち受けた男が気安く肩に手を回す。
気にせずカウンターに腰掛けタバコを取り出す。
灰皿にはもうたくさんの吸い殻が溜まっている。
「アニキがあんたの噂を聞き付けてからソワソワしどおしでな、変なモンに手を出して下手うつ前にオレが味見しとかないとなってわけよ」
聞かれてもいないことをよく喋るやつだ。
緊張してるんじゃないだろうか、その見てくれで。
無闇に肩幅の張り出したスーツの着こなしはどうみてもビジネスパーソンの範疇にない。
胸元にネックレスが覗いているのはわざとだろう。
この手の人間に特有の示威行為ってやつだ。
「シャワー、お願いします」
メンツに傷をつける気もないし、ついたら見境をなくすのがこの手合い。
いつも通り流れるように事を進めるだけだ。
腰にバスタオルを巻いた男がベッドに横たわる。
「期待してるぜ、兄ちゃん」
タオルを床に投げ落とす。
鶏ガラのように痩せた体。
身長はそこそこあったから、ナメられることにはそんなに慣れていないかもしれない。
まあ、尺ってもいない竿を初見でナメるほどオレは素人じゃない。
なんだかんだでビビっているのだろう。
竿にはまったく血が通っている様子はない。
浅黒いモノが縮こまっている。
いいだろう、オレは尺るためなら手間を惜しまない。
縮こまったままの竿ならオレは丸呑みできる。
ひとくちでぱっくりとくわえる。
「はっ♥あっ♥」
落ち着け、まだくわえただけだ。
くちびるをむにむにと動かしながら舌全体を蠢かせる。
変幻自在の舌は裏筋と亀頭を縦横無尽に舐め回す。
反応が早い。
血が竿に巡っていく脈動を感じる。
そのまま五分勃ちまで続行。
「あーっ、こりゃ、あーっ」
竿に張りが出てきたところでクチから引き抜き、横笛舐め。
根本から亀頭に血を集めるように、竿を傾けて舐めしごく。
裏筋を二往復、ひっくり返してカリを跨いで三往復。
その繰り返し。
時折、カリの全周をぺろりと一周舐めてやる。
「あっ、あっ、こんなっ、あっ」
甲高い声。
これが素なのだろう。
ぎりぎり九分勃ち。
とどめを刺すのはもう少し待ってやる。
ストロークに移行。
こういう手合いは尺をただのクチコキと扱うきらいがある。
そうはいかない。
亀頭に唇を吸い寄せ、重々しくどぅるんとコキおろす。
「ほっ♥」
竿の肉をこそげとるように、ゆっくりと、しかしクチをぎゅーっとすぼめて搾りあげる。
「うぅん♥」
それをしつこく繰り返す。
どぅるんっ、ぬーっ、どぅるんっ、ぬーっ、どぅるんっ、ぬーっ。
オレのリズムはまったく揺るがない。
とっくに本勃ち。
目測14cm。
「あーっ、はっ♥はっ♥あーっ」
竿全体の感覚が呼び覚まされて敏感になってるはずだ。
ここでカリを集中的に往復するピッチストローク。
ちゅくちゅくちゅくちぃくちゅくちゅくちゅくちゅくちぃく。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」
ピッチに合わせて喘ぎ声が刻まれる。
先汁が止まらない。
涎と合わさりオレのクチのなかはドロドロだ。
そのままフルストローク。
オレの頭が激しくピストンする。
見た目の派手さに比べて竿の搾り込みはマイルドに。
きつく搾るよりもフィニッシュ前はこれが効く。
じゅっじゅっじゅっじゅじゅじゅじゅじゅじゅじゅっ
「ああっああっああっああっああっ」
さあ、出せ。
じゅじゅじゅじゅじゅじゅじゅっ、じゅっ。
タイミングを合わせたように精が放たれる。
ぴっぴっぴっとかわいらしく三回跳ねる。
こってりとした重み。
苦味が強い。
ティッシュに落とす。
「これで終了です」
立ち上がるオレ。
「こいつは…とても…アニキには…」
茫然自失で自分でもなにを言ってるのかわかっていなさそうだ。
兄貴と仲良くな、胸の内でつぶやいて部屋を出る。
夕方の町を六本木に向かって坂をのぼる。
ここらへんが騒がしくなるのはもう少し遅い時間だろう。
長居する気はない。
通りを挟んだ向かいにへぎそばの店があったはずだが、渡るべき横断歩道はもう過ぎた。
まあいい。
自宅で茹でてもそれなりのものは食える。
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