6 / 24

ワガママ王子と悪戯猫(6)

「おはよ、颯人」 「おはよ、ございます……」 まだぼんやりと眠りから覚めやらぬ頭を上げて、眠い目をこすりこすりベッドの上で体を起こした。 焦点が定まらずぼやける視界に映るのは、至って機嫌のよい悠さんだ。 あぁ、今日も男前ですね……ところでなんでここに悠さんいるんですか?あれ、なんだっけ……。ここはどこ? 起き抜けの頭から昨日の記憶を引っ張り出そうとするけれど、何かに引っかかっているようでなかなか出てこない。 窓から陽の光が入って明るく暖かいベッドの上で、小さくあくびを一つ。 「朝飯!作ってきたぞ。食おうぜ」 にっこにこの笑みを浮かべた悠さんは、持っていたトレイをサイドテーブルに置いた。 ベッドに腰を下ろし、ついでにテーブルを引き寄せて、悠さんはスプーンで一匙コーンポタージュをすくって俺の口許に運んだ。 「ぇ、あ、いただきます……」 与えられるままにありがたくいただいて、ポタージュとロールパン、スクランブルドエッグ、サラダを少し腹に納める。 「美味しい、です……」 「だろ?……へへ」 嬉しそうな悠さんの笑顔。 夢か現か未だ分からないけれど、この温かくて幸せな朝食は現実だと思いたい。 「大丈夫か颯人?起きてるか?なんかぼーっとしてねぇ?」 食器を片づけてきた悠さんが心配そうに俺の顔を覗きこむ。 「なんだか……夢の中にいるみたいで……悠さんが優しいし……」 「馬鹿言うな、夢で片付けられちゃたまんねぇよ。俺はもともと優しいし、颯人は今起きてる。昨日の夜メ○イキしまくったのも夢じゃない、現実だ。ほら」 心外だとでも言いたそうな顔をした悠さんは、『ほら』のところで真顔のまま手をのばして、俺が着ているシャツの裾をめくった。 「~~っ!!悠さん?!」 朝勃ちしていた息子と思わぬ再会をはたして、俺は思わず手近にあった枕を悠さんの顔に向かって投げた。 「あはっ。照れんなよ。俺は下穿かせようとしたぜ?でも颯人がつながったまま眠りたいってっっ!……っあっぶねーなぁ、もぅ」 二個目の枕を顔面すれすれで受け止めて、悠さんが笑う。 「だーいじょうぶだって。メ○イキしてる颯人もやっぱり可愛かったから、さ。さすがに動画は撮れないから、颯人には見せらんないのが残念だけどっ……!ははっ!弾切れだな!」 枕を投げつけようとしたけれど、もう二つとも悠さんの手元にあるのを見て、俺は怒りと恥辱に唇を噛む。 俺がそんな、つ、つなが……ったまま寝たい……、なんて破廉恥なこと言うはずがない。 悠さんがからかっただけだ、そうに違いない。 「いいじゃん、そのシャツすげー似合ってる。寝間着にやるよ。寝る前は必ず一汗かかなきゃならないけどな」 悠さんは俺を抱き寄せて自分の膝の上に座らせる。 裾が長いおかげで、悠さんとの間にシャツが挟まっているとはいえ、下着がないと落ち着かない。 「昨日の夜さ、俺、すっげー久々にぐっすり寝た。朝もすっきり目が覚めたし。颯人のおかげ。ありがとな」 悠さんがいい雰囲気で何か言っているのだけれど、俺は剥き出しの下半身が気になって話を聞くどころじゃない。 「……おい、颯人、聞いてんのか?」 「ちょっと、お尻が落ち着かなくて……」 「ぅおい!俺の話よりテメエのケツ優先させんな!」 「や、だってムズムズするんです……んんっ」 膝の上でもじもじしていたら、悠さんにがしっとお尻を掴まれた。 「そんなにやりたいなら、第二ラウンド、いくか?」 顔を上げたら、悠さんがにやりと笑った。

ともだちにシェアしよう!