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ワガママ王子と悪戯猫(16)
そこからは、双子による怒涛の質問責めが始まった。
「どこ?悠のどこが好きなの?」
「ゃ、優しくて、でもぐいぐい引っ張ってくれるとこ……」
答える俺は顔も上げられずに赤面中。
「悠、すげー俺様じゃん。そういうとこ大丈夫?」
「もちろ、ぁ、いや、えーと、はい、……それも含めて、その、好き、です……」
「いつから付き合ってるの?」
「は、んとし、くらい前からです……」
本気で、例えじゃなく顔から火が出そうなくらい熱い。
「お前ら、ほどほどにしろよー?」
頼りの悠さんは完全に傍観している。
「悠、助けてあげないの?颯人さん耳まで真っ赤っかだよ」
「可愛いだろ?」
俺をぎゅっと抱き寄せて、自慢げに言う悠さん。
俺は嬉しいやら恥ずかしいやら、どういう顔をしたらいいのか分からなくなって、俯いて悠さんの腕に火照った頬を押し付けた。
「ごめんね颯人さん。悠、あんまり優しくないでしょ?」
「いえ、その……時々、ご褒美程度に優しいので、ほんとそれで充分です……」
しばし口を閉じて考え込んでいた幸くんが、そっと訊いてくる。
「颯人さんて……その、えむなひと?」
「Mではないです、たぶん……。自分のやりたいことをやってる悠さんが、す、好きなので……」
「はい、終了、質問はここまで。牛肉食え!」
先に自分と俺の分を取り分けてくれた悠さんが、鍋を公開した。
創くんと幸くんが歓声を上げてすき焼き鍋に殺到する。
「肉うめー!」
「さすが牛様!!」
二人とも、食べ盛りの男子らしく、あっという間に鍋を空にしてくれた。
ご飯も何度目のお代わりか分からないくらいだ。
多めに炊いたけど、そろそろさっき炊いた分はなくなってるんじゃないだろうか。
「ほら、颯人も冷めないうちに食えよ」
「あ、ありがとうございます」
座り直して箸を手に取ったところで、悠さんが俺の耳元でぼそりと呟いた。
「あとで、な。たまには優しくしてやるから」
俺は再び赤面した。
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