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ワガママ王子と悪戯猫(23)

んで、結局、悠とコトを致してるわけだけど。 変質者さんやら痴漢さんのおかげで、喘ぎ声を押し殺すのは慣れてると思っていたのに。 「んっ、ぅっ、はぁっ、あぁっ、んぅっ、んんっ」 必死で両手で口を塞いでいるのに、この体たらく。 だって、無理だろ。 悠に突き上げられて、イイトコロを抉られて、同時に悠に焦がれるような目で見つめられて。 気持ちよすぎて、幸せすぎて、声を体の中に押し込めようとしても、次から次に湧いてくる喘ぎ声が洪水を起こしてる。 「駄目だぞ颯人、静かにしなきゃ」 そんなことを言いながら悠が腰をぶち込んでくる。 自分は眉根をわずかにしわ寄せて、とろけるような視線をこっちに向けながら。 「あっは、イイ。すっげー気持ちイイ。だろ?」 「手加減、っんぅ、手加減してっ」 「はは、今手加減してんじゃん」 王子様は上機嫌で俺を愛してくれる。 ただ、それは俺が受け止めきれる大きさじゃなくて、大幅にキャパオーバーしてて、俺の両手からぽろぽろ零れ落ちてる。 そしてそれは俺の喘ぎ声となって、部屋の中を満たしている。 たぶん、ドアの外にも漏れ出してる。 今何時だろう。創くんと幸くんが起きる前にリビングに戻らないと。 「だァめ、颯人。今俺以外のこと考えたろ。浮気だぞ」 「は、ぁあんっ、だってっ、そろそろ時間がっ」 閉じたカーテンの隙間から、薄明るい光が入ってきているように見えるのは気のせい? 「颯人?」 呼ばれて視線を窓から悠に戻した。 途端に優しく甘いキスが降ってきて、俺は時間のことを忘れた。 「悠……もっとっっ、もっとキスして……甘いキスが欲しい」 「俺のキス欲しい?」 「うん」 悠を見つめて素直に頷いてみせると、満足そうな顔をして悠はもう一度キスをくれた。 甘くて、ちょっとだけビターな……、チョコソースの入ったマシュマロのようなキスを。 こんなの貰ったら、ちゃんとお返ししないとな。 両手をのばして悠を抱き寄せて、今の俺にできる限りの愛情をこめたキスをした。 キスを受けた悠は、嬉しそうに、照れくさそうに、ちょっとだけはにかんで笑いかけてくれた。 「颯人、ありがと。……そろそろイこっか」 悠の指の長い大きな手が俺の腰を捉えて、二人で創った愛の曲はフィナーレを迎えた。

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