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第13話 Side:M **

 フィン。俺が自分以外の男にも抱かれているって知ったら、どう思うのだろう。今度こそ城から追放されるだろうか。 「そ……ん、なの……」 「どっちだよ、なぁ?」 「ぁッ、ん、ァ……はっ、は……フィンのほ、が、じょう……ひぐッ! あ゛ッ!」  挑発的に笑ってやると、ズンと奥を揺らされて息が詰まる。事実を言ったまでだと言うのに。こんな奴らがフィンに勝てるはずがない。向ける気持ちがそちらに向いていない時点で負けだ。こんなこと言ったら乱暴にされるだろうと思っていたけど、嘘でもそんなこと言えなかった。プライドに傷でもつけたか、余裕のない責めが体を貫いていく。必死だなと笑いそうになる。恐らく、この先どんなにされてもそこは変わらない。あの拷問の中で俺を最後まで支えてくれた感情。このくらいで変わらない。俺はフィンが好き。それだけは、嘘をつかない。体はどんなに奪われても、心だけは渡すつもりはない。 「んァッ! あ、あッ、ひ……ぐ、い゛ッ、あっ!」  しかしその意地はしっかり機嫌を損ねてしまったらしい。腰に手を添え、無茶苦茶にガンガンと揺すられ、慣らしたはずの結合部が裂けるように痛んだ。フィンのベッドほど立派ではないベッドが揺すられる度に軋む音を立てた。その音が行為の乱雑さを物語っているようだった。そのあまりの勢いに体は押し出されていく。支えのない足はベッドから力なく垂れていて、上へ上へと押し上げられると頭がベッドの柵に触れた。それに頭がぶつかるのも無視して、ひたすら酷い律動だけを繰り返される。擦りあげられる内側が快感に蠢いている。 「ぁ、あッ、……ん、ンっ、く……い、たい……ぃ、た……」 「違うだろ、おい、気持ちいいって言えよ」  頭頂部が何度も柵にぶつかる。その鈍い音は届いているはずなのに、体を起こしてくれることはしなくて、ただ挿入を続けるだけで。もう一人も見ているだけで助けてくれる気配はなかった。前回よりもレイプされているという感覚が強くて、怖くて余計に言葉が出なくなる。ただ喘ぎ続けているしか出来なくて、柵から逃れようと頭を丸める。 「……おい、一応人質なんだからあんまり傷つけるなよ」 「あ? ちょっとキズモノの方があの王子には効くだろ」  ベッドの隣から話し声がするが、そちらを見る余裕はない。奥を何度も突かれて、快感が頭へと上っていく。酷い熱は絶頂への欲を示していた。容赦ない律動に体はどんどん高ぶっていく。我慢なんてする余裕はなくて、早くなった呼吸が落ち着かない。正面の男が体を倒してさらに繋がりを深くしていく。尻たぶを強く打ちながら、体を揺すり続ける。 「ひっ、く、ぁッ……あ゛っ、イっちゃう、でる……あ、あ゛ァッ!」  全身に電流でも流されたのように刺激が体を巡っていく。それで体が跳ねると共に、最奥に吐き出されるのを感じる。後孔で脈打ちながら、欲を吐き出していく。全部出し終わると、やっと引き抜かれていく。恐怖のせいで息が詰まっていたからか、いつも以上に息が苦しい。どうせこれで終わりじゃないことくらい分かっている。落ち着かない呼吸もほどほどに、男が場所を入れ替わるのを涙で滲んだ視界の中で見つめる。代わった男は上へ押し出された体を少し下に引き下げてくれて、やっと頭が柵から離れる。落ちていた両足を抱えあげて、膝を曲げ達磨のように丸められる。その上に体を重ねられ、そのまま挿入される。それから足を開かれ、ぴったり身を寄せられ、無様に足を開く形になる。片手で達したばかりの自身に触れながら、上から下ろすような律動を開始される。 「んぐっ、……ん゛ッ、んぅッ!」  今度は単純な速度ではなく、確実に奥まで入れる形の挿入で先ほどとは違う快楽が腰を伝っていく。しっかりと前立腺を貫くそれは、中から精巣を押しているようで突かれる度に強い快楽が体を駆けていった。その度に後孔に力を籠めてしまい、卑猥な音がはっきりと聞こえた。 「もっと深く入れてやろうか」 「あ、ぅ……んぅ……? うぁっ! あ゛ッ!」  急に声をかけられたかと思うと男は一旦動きを止め、両手を背中の下に入れてきた。それから俺の体を起こしながら自分は後ろに寝転がっていく。体を百八十度反対にされ、体は完全に男の上に乗っていた。それは騎乗位の体勢になり、男は下からしっかり突き上げてくる。足が動かない体では、されるがままにしかなれない。しっかりと抱き締められて、深い突き上げに声が出てしまう。目の前にいるのは好きでもない男なのに。それに身を預けているという状況が、ただ悔しくて。 「あ、あ゛ッ! ゃ、や、ぁッ! あッ!」  男の肩口に頭を置いて首を振ることしか拒絶は出来ないが、そんなの本気の拒絶とは受けてもらえなかった。男は膝を曲げて、好き勝手突き上げてくる。 「あッ、ぅ、あ、あっ、」 「……ヤバいな、俺もヤりたくなってきた」 「なんだよ、パスとか言ってたくせして」  熱と涙でぼやけた目に、いつの間にか増えていた男の姿が映る。扉が開きっぱなしだったから、この声が筒抜けだったせいだろう。俺を見下ろしている一人を上目に見上げてみると、男はその頬を吊り上げた。 「あ、俺ヤるわ。これ全然イケる」 「はは、いっそもっと輪姦してから王子に見せてやるか」 「コイツ捨てられるんじゃねぇの?」 「そんときは拾ってやるよ、うちの性奴隷にでもしてやる」  うるさい声が聞こえるが、頭には入ってこない。頭は突き上げでもういっぱいいっぱいだった。喘ぎ続けることが精一杯で、黙れ出ていけと叫ぶ余裕はどこにもなかった。回されていた手が下りていって、尻たぶを持ち上げられる。開かれた後孔はさらに挿入を滑らかにして、何度も奥を突き上げられる。 「おい、ここ狭いからそっち出すぞ」 「あ? ったく面倒だな」  と、急に動きが止まって男が俺ごと体を起こす。それから尻たぶを持っていた手を大腿に動かして、挿入したまま立ち上がり俺を持ち上げた。 「あっ、ァッ、なに、な、ぁ、アッ!」 「おい、体倒しとけよ」  そのまま俺を抱えて男は歩いていく。そんなことをされるとは思っていなくて、対処しきれず慌ててしまう。体格は俺とそう変わらないと思っていたのに、こう軽々持ち上げて移動されると妙な気分になる。小部屋の外は作戦会議室のような部屋で真ん中には地図を広げる大きな机がある男はそこに俺の背中を下ろす。それからまた挿入を繰り返される。 「あ゛ッ、んん、ん゛っ、ぅう……ん、く、る……──ッ、あ゛、んぅッ!」  それまでの行為で高ぶっていた体が震える。今度は射精することはなく、奥だけで達してしまったらしく。萎えない快感が体を駆けめぐっていく。男の方は中に出したらしく、後孔が収縮するのに合わせて一緒に溢れていった。 「は、メスイキすんだな」 「次、いれるぞ」  まだ呼吸が整ってもいないのに、また次の挿入が開始される。それを拒絶するために足を閉じることは出来ないから、ただ次に入れられるのを黙って待つことしか出来なかった。少しだけ目を開くと、部屋の中に散った男が見えた。これ全員とヤらなきゃいけないのだろうか。気が遠くなるようだった。毎回イっていたら体がもたない。 「……っ、ん、あ、アッ……ぅ、んっ!」 「ほらケツ締めろよ」  次の性器が挿入され、そのまま動かされる。大きな動きはせずとも、ナカに溜まった精液も交わってぐちぐちと卑猥な音が立てられる。尻を叩かれるが、緩くなったそこはそう上手く締まらない。もう無理だという意味を込めて首を振るが、そんなの見てはもらえない。 「あ、あっ、ぁッ……あ゛ぅッ! あ、あづ……、あぁッ!」 「お、締まるじゃん」  突然体に酷い熱さを感じて、つい力を込めてしまう。それが男を喜ばせたらしく、嬉しそうにガツガツ腰が動く。今のは何かと目を開けると、一人の男が持つほの明るい光が辺りを照らしていた。それは蝋燭だった。つまり、今の熱は蝋燭の蝋。通りで熱いはずである。緩くなったら垂らすつもりだろうか。もう勝手に使っていいから、静かに寝かせてもらいたかった。 「そういや、馬が帰ってったらしい。しかもまたうちの新兵が俺を通さず王子のところに行きやがった。終わったら会議だからな」 「あいよ、終わったら、な」  汗で濡れた髪がかきあげられる。俺はこのまま壊されるのだろうか。  ……もう、フィンの隣には帰れないのかな。それなら、せめて、フィンに好きって言えばよかった。一言だけでも、俺も好きだよって、ちゃんと伝えておいたら、よかった。

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