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第83話
「理苑。驚かせてごめんなさいね」
「ずっと…こんななの?」
「…私も年を取ったのね…以前のようには行かないわ。前からね、あまり良くはなかったの。だけどみんなと一緒にいたくて頑張ってきた…けれど…もう限界みたいね。今日から入院ですって」
「そっか…」
「理苑。そんな悲しい顔しないで…あなたには私だけじゃない。多くの人が側にいてくれてる。それを忘れないで。天くんもその一人よ。あなたが有名になってしまったことでお母様がうちにやってくるようになったのだけれど…最近は度を超えていて…琉にも連絡していたみたいなの。琉だけじゃない。九良斗さんのところにも訪れたらしいの。」
「あのクソババア」
「理苑。彼女はあなたを生んでくれた。その時はきっとねあなたを愛していたはずなの。だって彼女はあなたを産むという選択をしたのだから。あなたがうちにくるまで忘れてしまった記憶のどこかで愛されたことがあるはずよ。じゃなきゃあの年齢まで育てなかったかもしれない。そうでしょ?理苑。あのね、彼女あなたを見ていたことがあるの。あなたを預けてしばらくしてからのことだった」
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