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第86話

「そんな話聞いたってあいつは俺を捨てた。俺をいらない人間だと言ってのけた。そんなやつを許すなんてできやしない。わかるでしょ?俺はあいつのおかげで今があるわけではない。お母さんや、さざなみのみんな、そして賢也さんのおかげだ。あんなやつ…もう顔も見たくない。俺にはみんながいてくれればそれでいい。」 「理苑」 「天…」 天の手を無意識ににぎりしめていたようだ 「ごめん!痛かった?」 「ううん。大丈夫だよ」 そういうと天は離しかけた俺の手をもう一度捕まえてきゅっと握ってくれた 「天…ありがと」 「…正直いうとね…私も許せているかといえば許せていないところもある。だって…うちの子どもたちを罵ったこともあるから…けれどね、理苑。恨み続けるより…嫌い続けるより少しでも愛情があったと信じられたら…きっとね…これからの人生が豊かになると思うの。あなたまだまだこれからよ。だから…」 「…許せる日が来るなんて到底おもえない。…けど生んでくれたことだけは感謝しておくよ。お母さん。今は…自分のことを労って。いつも俺たちのこと思ってくれてありがとうね」 それからしばらく話したけど少しだけ顔色が優れなくなってしまったから帰ることにした 「理苑。送ってくわよ。」 「らなさん。俺もう少し天と話したいから先に戻ってて」 「わかった」 らなさんの車を見送って天を見る。そういえばずっと手を繋いだままだった 「天。勝手に話したいとか言ったけど時間平気だった?藍さん?って迎えに来たりしてる?お父さんとか」 「大丈夫。さっき連絡しておいたから先に戻ってるって。で。話って何?」

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