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第95話
賢也Side
琉くんの片割れの天くん…か…
天くんとは何度か会って話をしたからどんな子なのかわかってるつもりだ。
理苑が琉くんの代わりとしてではなく天くんを見ていることは話してみてよくわかった。
理苑は真っ直ぐで嘘はつけない。…けれど…天くんは…そうはいかないかもしれない
天くんはきっとどんなに真っ直ぐ理苑が思いを告げても素直には受け取れないだろう。
あの子はそういう子だと思う…
周りの目もそうだけれど俺が心配しているのは…天くん本人の心の懐柔を理苑がはたしてできるのかってこと…
きっと昨日は天くんは素直に抱かれたのだろう。理苑はそれを天くんが自分の気持ちを受け入れ、恋人となってくれたからだと思っているはずだ
けれど天くんはおそらく生みの母親のこととさざなみのお母さんのことが重なって理苑が疲弊して誰かに甘えたくて手っ取り早くたまたまその時側にいた好きな人である琉くんとそっくりな自分がそこにいたからだって勘違いしてると思う
…ただでさえ遠く離れてしまう天くんを繋ぎ止めるのは大変なのに…
難しい恋を選んだね…でもね…理苑…時間はとてもかかると思うけれど…お前ならできるって俺は信じてる…
お前の気持ちがそう簡単に揺らぐものではないということも…
「おはよぉ…早いねぇ二人とも」
「昇龍さん。おはよ」
「はよぉ…あれぇ?恋人ちゃんは…あ…理苑…お前盛りすぎただろ。ダメだぞ!始めから飛ばしちゃ」
「いや…だって可愛くて」
「わからんじゃないけど受け入れる側はとても大変なんだから大切にしてやりなさい。」
「はぁい…」
昇龍はきっと俺の気持ちを察して場を明るくしてくれるためにそう言ったのだろう。
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