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第106話
レオSide
「ねぇ…」
俺が声をかけると天は振り返り首を傾げた後直ぐに険しい表情になった
「俺に何か?リオンのお友達ですよね?」
流暢な言葉で返事した
「…レオだ。時間をもらってもいいか?」
「俺には話すことはないですけど。リオン待ってるんじゃないですか?戻ってあげれば?」
「本当にリオンもらっていい?」
「は?そもそも俺とリオンはただの知人なだけだ。」
「いや。リオンはお前を恋人だと幸せそうに話してくれていたよ」
「それは!俺が琉に似てるからで!」
自分で言ったのに焦ったように頬を染め目を潤ませる。
「なるほどね。琉が君の思いを邪魔しているんだね」
「レオさんだっけ?」
「あぁ。君は?」
「俺。天の友人の由良です」
「ユラ。よろしくね。君たちは友人以上に見えたけれど」
「…俺たち幼馴染なんです」
「幼馴染?」
「はい。さっき…リオンくんの前でキスしてるように見せたけど見せただけで触れてない…」
「由良!いいから!!行こう」
「君はそれで後悔しないの?由良もそう思うのだろ?」
「…はい!このままで言いわけがない!天!考え直せ!」
「いやだっ!!だって!俺を見てないのわかってるのに…俺は琉の代わりでしかないのに!いやだ!側にいたら…求めちゃうでしょ!!もっと…俺を見て欲しいって!俺だけを見て欲しいって!!」
なるほどな…自信がないのだ。リオンに愛されている自信。
琉への想いがあったなんて俺は初めて聞いたけど…天が迷うのも無理はない。琉とは随分と前にもう一つの仕事の縁で会ったことがある。その琉と天は見た目がほぼ同じなのだ。
けど…リオンは天の見た目を好きになったんじゃない。人を思う強い心に惹かれたのだ。
琉と天は見た目だけ似てて他は全く似ていないから。
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