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第107話

レオSide 「なぁ。天。知ってる?理苑があんなに窶れた理由」 「…お母さんが…」 「違うよ。君と連絡が取れなくなったからなんだよ。君のことを思い食事も喉を通らなくなり眠ろうともしない。君からの連絡を見逃さないために連絡ツールだけを必死で握りしめてた。 琉とは毎日連絡をしていたけど理苑はみるみる窶れて行った。既に理苑の支えは琉ではないのだ。 琉にはそんな姿になってるなんて微塵も感じさせない完璧な話し方だったよ。おそらく琉には弱みは見せられないのだろうね。本当の姿は見せられないのだろうね。 俺たちにだってそんな姿は見せまいと必死なのは伝わってきていたが…ご飯も食べられず睡眠も碌に取れていない。そんなの毎日一緒にいるんだからチームの誰もが気付いていたよ。俺たちも何とかしてやりたくて必死だったが…リオンを救えなかった。」 「そんなの…」 「…弱りきった理苑は…俺の誘いに応じようとした。悪いな。あいつに触れさせてもらったよ。何度もね。俺は理苑を愛しているから。弱りきった理苑はこれまで頑なに拒んできた好きでも無いやつと絡まない。その誓いを君のせいで破ったんだ。君が急に連絡をしなくなったからね。俺にとってはとてもありがたいことだ。でもね、天。本当にこのままでいいと思っているのかい?理苑を精神的に追い詰めて壊して…そして…ただの人形にしてしまうのかい?理苑は…母親に捨てられたという記憶が心に根強く染み付いている。君から捨てられたら…今度は間違いなく抜け殻になってしまう。大好きなバスケも出来なくなるだろうね。監督がね、今検討しているんだ。リオンをスタメンから外すか否か…そもそもチームから外すか…大怪我をし再起不能と言われたリオンがどれだけの思いで今の地位になれたと思ってるの?それを君はここで潰すのかい?俺はそれでもいい。俺が理苑を囲い構い倒して俺だけにしか見れないところに閉じ込めることだってできるし理苑を愛し続けることだってできる。でも理苑は…それを望むかな?本当に後悔しないかい?」 「じゃあ!!俺は我慢しなくちゃならないの?リオンのために俺の思いは我慢しなくちゃならないの?」 「だから!言ってるだろ?理苑は君を代わりだなんて思ったことなんてないって!!」 「違う!俺は代わりだよ!」 「…わかった。じゃあもういいよ。天。君は悲劇のヒロインになったつもりなのか。醜いヒロインだ。いかなるときもヒロインというものは全力で立ち向かい進むものだと思うからね。ヒロインというのもおこがましいね…始めからリオンの真っ直ぐな思いを受け取らず、かと言って自分の思いもぶつけられない戦わないうちに尻尾を巻いて逃げ出すただの醜い負け犬だ。 理苑は素晴らしいヒーローだったよ。もう…その姿を見ることは叶わない。君という存在に出会ってしまい壊されてしまうのだから」 「俺がいなくなったところで理苑は…壊れやしない!!」 「そう言い切れる?君は知ってるはずだ。本当は理苑は…強くなんかないってこと。君の言葉を今でも糧にして生きている。中身は子供のままの大人だってこと。理苑に聞いたよ。諦めようとしたとき夢の中の青い瞳の小さな存在が支えてくれたって。その小さな存在が自分の背中を押したんだって。夢の中の話だから信じられないかもしれないって笑いながら話してた。そして、前回の帰国時、その相手と現実で会えて…そして…恋人に…なれたのだと…俺に幸せそうに話してくれた。その相手は君なのだろ?」 「…夢の中の小さな青い瞳の…ソラ…それは猫のソラであって俺ではない」 「猫は言葉を発せない。言葉をくれたのは少年だった。その少年に支えられたのだと。その少年は君…」 「天!!!ここにいたのね!!」 話している最中に綺麗な女性が血相を変えてやってきた 「らなさん…俺を探していたの?」 「まだいてくれてよかった!!早くっ!!私と来て!!」 「わかった」 あまりの形相に天は弾かれるように走り出しらなさんを追っていく。その背中に声をかけた 「天!!ちゃんと考え直してくれ」 天は何も言わず振り返りもせず走り去っていった。 取り残された俺は同じく呆然とする由良を見た

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