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第112話
らなSide
「あれ?理苑は?」
「苑兄ちゃんさっきお部屋に行ったよ。なんか、ふらふらだったから疲れてお部屋に泊まるのかなって」
「そうなの?少し様子を見てくるわね。君はお部屋に戻ってもう休みなさいね」
「はーい」
施設長…お母さんが亡くなり、久しぶりに理苑が帰国した。テレビで見たことのある友人とともに。
理苑は…最後にあった日から随分と窶れてしまっていた。
あんな姿はここに初めて来たとき以来でみんなで驚いたのだ。
練習が厳しいのだろうか?そんなことを思いながら忙しさで声をかけられないでいた。
言われた場所へいくとそこには窓際に腰掛けて外を眺めている理苑がいた。
「理苑。冷えるわよ。賢也さんには連絡しておくからベッドへ入りなさい」
「…」
「理苑?」
何だか様子がおかしい…
側へ行くと意識を失っていた。
「理苑?理苑!理苑!」
どんなに呼んでも理苑は…動かない
私の声を聞きつけて職員たちがやってきて理苑をベッドへ運んでもらった
「理苑!!」
「…天…」
何度も理苑の名前を呼んでいるとふとか細い声でソラの名前を呼んだ…それはそれは愛おしそうに…苦しそうに…
「ソラ?ソラのこと?」
「…天…天…俺を捨てないで…」
ハッとした。もしかすると…ソラではなく…天のこと…?だったら…!
「私!天を探してくるわ。救急車は呼んだから直に来ると思うから!!」
部屋から走り出て必死で天を探す。そういえば今日は由良くんが迎えに来てくれるって言ってた。
由良くんはいつも車を停めるところは決まってるから…急いでそちらに向かうと理苑の友人と言い合っている天を見つけた。
会話の内容はよくわからないけれど今は時間がない
「天!!!ここにいたのね!!」
「らなさん…俺を探していたの?」
「まだいてくれてよかった!!早くっ!!私と来て!!」
「わかった」
天は直ぐに反応してくれた。急いで向かう私達の背中に由良くんの声が届いた
「天!!ちゃんと考え直してくれ」
今はかまっている余裕はない。ごめんなさいね。由良くん
「らなさん。どうしたの?」
「理苑が…倒れたの。あなたをずっと呼んでる」
「え?」
「捨てないで…って…呟いているの」
「そんな…琉じゃなくて?」
「天と言っていた…今は何も聞かない。けど理苑には、天。君が必要なのよ!」
聞けないけれどわかってしまった…彼らは特別な関係なのだと…それに対しての偏見はないけれど何か複雑に絡み合っていそうな気はした
部屋に入ると天が叫ぶ
「理苑!」
直ぐに横になる理苑の手を握り泣きながら必死で理苑を呼ぶ
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