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第118話
「…天…どうした?泣きそうな顔してる」
無意識にそっと手を伸ばして頬に触れた。そしたら天の大きな目から涙が零れ落ちた
「りおっ…うっ…ごめ…ごめ…な…さい」
「…何が?」
自分が思っていた以上に低い声が出た。肩をビクリと震わせたあと天は決意したように俺を見た
「あの…あのね…まず…連絡…しなくてごめんなさい」
深々と頭を下げた天を撫でる。
「…理由は?」
「俺…理苑から…離れたくて」
「…っ!?」
「理苑は…俺とは住む世界が違う。有名だしカッコいいし…だからね、理苑には俺よりお似合いの人がいるって思って身を引きたかった…そしてレオを連れてきたでしょう?レオは俺が思っていた以上の人で…並んでる姿がすっごくお似合いで…俺間違ってなかったなって思った」
「…レオは…チームメイトで友人だ。…俺は…レオと…キスした…それ以上のこともしようとした…結局そこまでいこうとしたときに賢也さんから今回のことで連絡があったから
未遂だけど…けど…これも立派な裏切りだな…天だけを責められない」
「…キス…だけ?」
「そうだけど…」
「…そっか…そうか…」
「…由良は?」
「由良は…幼馴染。彼氏ではない」
「じゃあ…なんで?目の前でわざわざ…その…キス…したの?」
「…あれはそういうふうに見えただけで触れてない…理苑に…嫌われたかった」
「…してない?」
「由良とは仲良いからよく遊んだりはするけど…それ以上はない…」
「じゃあ…」
「…俺は…琉の代わりでしょ…?…俺と琉はよく似てるから…そうじゃないと理苑が…出会ったその日に俺のことを好きだって言うはずがない…から」
「…不安…なの?」
「…」
無言で頷く天の目から落ち着いたはずの涙がまたこぼれ落ちてきた
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