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第119話

何度も気持ちは伝えてきたつもりだった。けどそれは天にとっては全部琉への言葉だと…そう感じさせていたのだ…俺は天を琉の代わりだと思ったことなんてないのに… その時また来訪者がやってきた。まさかの相手で驚いた 「理苑!倒れたって聞いて」 「琉!?お前仕事は?」 「お母さんのこと聞いたからスケジュール調整して帰ってきたんだ。結局…葬儀には間に合わなかったけど…手を合わせてきた。その時らなさんにお前のこと聞いた」 「…琉…会うの久しぶりでしょう?ゆっくりお話してね?じゃあね」 「天!待っ…!!げほっ…げほっ…」 「天!」 琉がぐいっと天の腕を引いた。すると琉の胸に倒れかかる天。それをぎゅっと琉は受け止めた。 昔みたいに華奢な男の子ではなく立派な男になったんだな…なんてついつい浸っていたら天が可愛い表情と叫び声をあげる 「わわわっ!ちょっ!琉!いきなりは止めて」 「ごめんごめん。大切な話ししてたのかな?邪魔してごめん!俺が出てくから。ね?ごめんね」 「…いや。琉…ここにいてくれるか?」 「ちょっと!理苑!」 「とりあえず天こっちに頂戴」 「物みたいに言わないでよ!」 「わかった」 「琉!?」 琉は素直に頷くと天の手を引いて俺の元に連れてきてくれた。戸惑う天の手を取り引き寄せた 「琉。約束してただろ?俺の大切な人できたら紹介するって」 「それって…」 「悪いな。天。俺諦める気ないから」

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