119 / 138
第119話
何度も気持ちは伝えてきたつもりだった。けどそれは天にとっては全部琉への言葉だと…そう感じさせていたのだ…俺は天を琉の代わりだと思ったことなんてないのに…
その時また来訪者がやってきた。まさかの相手で驚いた
「理苑!倒れたって聞いて」
「琉!?お前仕事は?」
「お母さんのこと聞いたからスケジュール調整して帰ってきたんだ。結局…葬儀には間に合わなかったけど…手を合わせてきた。その時らなさんにお前のこと聞いた」
「…琉…会うの久しぶりでしょう?ゆっくりお話してね?じゃあね」
「天!待っ…!!げほっ…げほっ…」
「天!」
琉がぐいっと天の腕を引いた。すると琉の胸に倒れかかる天。それをぎゅっと琉は受け止めた。
昔みたいに華奢な男の子ではなく立派な男になったんだな…なんてついつい浸っていたら天が可愛い表情と叫び声をあげる
「わわわっ!ちょっ!琉!いきなりは止めて」
「ごめんごめん。大切な話ししてたのかな?邪魔してごめん!俺が出てくから。ね?ごめんね」
「…いや。琉…ここにいてくれるか?」
「ちょっと!理苑!」
「とりあえず天こっちに頂戴」
「物みたいに言わないでよ!」
「わかった」
「琉!?」
琉は素直に頷くと天の手を引いて俺の元に連れてきてくれた。戸惑う天の手を取り引き寄せた
「琉。約束してただろ?俺の大切な人できたら紹介するって」
「それって…」
「悪いな。天。俺諦める気ないから」
ともだちにシェアしよう!