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第120話
「琉…俺の大切な人は…お前の大切な…片割れである天だ」
「…」
「…俺は…ゲイなんだ。琉。お前はそんな俺を軽蔑する?」
「…それは…」
「…理苑!やめて!琉!琉!こんなの冗談だからね!ね?もうっ!!」
「天…理苑は…こんなことを冗談で言うような人ではないよ」
「けどっ!!俺っ!!」
「理苑。俺は…君が誰を選ぼうが構わないと思っていた。けどね…天にこんな顔させて…泣かせて…ちっとも幸せそうに見えない。天は俺の片割れ。とても大切な相手だ。こんな顔をさせてしまう君には天を任せられないよ」
「ちがっ!ちがうの!!違うんだ。琉。悪いのは俺だから。だから…」
「天…俺はね二人とも幸せになって欲しい。何があったのかはわからないけれど今の二人は辛そうだよ。理苑は…レオと…一緒の方が楽しそうだったし天も由良といる方が楽しそうだった。手放しで君たちを祝福できないよ」
「…琉。俺は…俺の初恋は…」
「だめっ!それは言ったらだめだよ。理苑…」
全て話そうと思い意を決して言葉を発したら天が怖い顔でそれを止めた。
おそらくそのことを言ってしまえば琉が気にするからだと思う…
俺は…大人しく口をつぐんだ。
「…」
「琉…あのね…俺は…自信がない。理苑がすごい人過ぎて…側にいられない…」
言葉をつまらせながらそう琉に話す天。それをじっと琉は聞いていた。
さっきも言われた言葉だがさっきよりもっと俺の胸がぐっと苦しくなった…
天は俺のことをすごいと言うけれどそんな言ってもらえるような人間ではない。俺を過大評価し過ぎだと思う。俺からしてみたら天の方がずっとすごいのに…
「うん。それで?」
「あのね…理苑が…レオと…一緒の方が楽しそうだったってのもわかるんだ…だからね…だから…俺…俺は…」
「…天。自分だけ辛いと思ってる?」
「へ?」
琉が冷たく言い放ち天が固まった
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