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第122話

琉の言葉に返事をしようとしていたら先に天が声をあげた。 「違う!!俺は…俺は理苑のこと好きなの…どうしようもなく大好きで…大好きでたまらない…そう簡単に好きな気持ちは消えない…辛い苦しい…」 天が俺のことを好きだと言ってくれた…そういえばその言葉は俺が一方的に伝えるだけで天からはなかったことを今更ながらに思う。俺はちゃんと天を見ていなかったのだ…天の不安にもっと早く気付いていれば… 天にこんな顔をさせることなんてなかった… 「…だーかーらー!!天は自分のことばかりじゃん!!理苑の気持ちが何もわかってない!!理苑ね、大切な人ができたんだってとってもとっても幸せそうに俺に話してくれた!!そのはずなのに何で二人ともそんなボロボロになってるのさ!!」 今度は琉にまで涙が浮かんで… 琉には相手の名前も性別も伝えてはいなかったが必ず天のことを話していた。嬉しくて幸せで言わずにはいられなかったのだ… 俺がもっとしっかりしていれば琉にまでこんな辛い言葉を言わせなくても済んだのに…本当に…俺ってやつは…  「なんで!!俺の大好きな…大切な人たちがこんなにぼろぼろなの!そんなのやだ!!」 子供みたいに泣きじゃくる姿は幼い頃見た以来だった… 「琉…」 「琉…ごめんな…お前にまでそんな顔させて…俺は俺のことしか考えてなかった…どれだけ苦しい思いするか…一緒に乗り越えられるのか…今のところ…まだ自信はない…けど…俺は天と…一緒に生きていきたい…ねぇ…天…聞いてくれないか?」   「…」 「あのな。俺はお前を代わりだと思ったことは一度たりともない」 「けど…」 「…俺さ。お前と出会った日初恋の人のこと思い出さなかったんだ…その後だってそうだよ。確かに連絡は取り合っていた。けどあの頃の思いは全く思い出さなくて…ただただお前と…天と一緒にいたい。天に会いたい…そんなことばかり思ってた。信じてくれないか?」 「けどっ!でもっ!!」 「これから信じてもらえるように俺も努力する…だから…始めから一緒に…もう一度…やり直させてくれないか?天…。そして…琉…俺に時間をくれ…それでお前が納得しないのなら…考えるから…」 「…天…どうするの?理苑は覚悟を決めたみたいだよ」 「…俺もっ…俺も一緒に…いたい…理苑と…いたい…」 「天…」 「…わかった…じゃあ…次…向こうで会ったとき…3ヶ月後…そこまで…待つから…その時…話し聞くからね。理苑。嘘は無しだからね」 「わかった」 「お願いだから…笑っていて?お願いだから」

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