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第131話
琉Side
しばらく見ていると天が俺に気付いた
「琉!」
その声にこちらに視線が集まるが俺が双子なことも公表してるからみんな不思議そうにしてはいたがすぐ納得してくれたのだろう。徐々に人は捌けていきすんなり二人の元へ行けた
「天。理苑。久しぶり」
「…そらさんと多岐川さんは?」
天は不安げな顔でそう聞いてきた。
うっ…同じ顔にこんな表情されると秘密にするのが辛い…けど…
「…今日は…ここには来ない」
うん。嘘はついていない
「…俺たちのこと話したのか?」
今度は理苑が不安げに言葉を漏らす
「あぁ。どうせすぐにわかることだからな」
うん。これも嘘ではない…
ただ罪悪感が半端ない…二人がさっきまでとは違う悲しい顔をしてるのが辛い…けどサプライズのため…必死にポーカーフェイスに努めた
「…そうか…」
重たい沈黙のまま場所を移動した。今日は二人の家に招かれているのだ。公演は明後日からだ。折角の再会だしゆっくりできるスケジュールを立てたのだ
「えっと…琉。元気してた?」
沈黙に耐えかねた天が二人の住む家についてしばらくしてそう言葉を発した。
あまりにも怯えたように俺を見るから安心させるように微笑みながら答えた
「相変わらずだよ。それより…よかったぁ!
…うん!もう大丈夫そうだね!…二人とも顔色いいし体重も戻ったのかな?安心した…ほんとに…」
そう答えるとまだ不安気ではあるが先程より柔らかい表情で顔を上げた天と目があった
「じゃあ…」
「うん。俺は君たちを認めるよ。その代わり…これから先一緒に笑っていてね。いつか別れが来たとしても苦しい別れじゃ…」
「別れる気ないけど?」
「琉は…別れて欲しいんだ…」
「そういう意味じゃ…」
そういう意味では断じてないのに勝手に話が進んでいく
「…琉。本音は?」
「…俺は…」
「理苑。俺は別れる気ないよ」
天が決意した瞳に強い光を宿しながら理苑と見つめ合っていた。
「理苑…」
「天…」
その視線が段々と熱くなっていきこのまま止めないと色々始めそうだったので焦って止めた。友人と兄のいちゃつく姿はあまり見たくはない。気まずいだろ?
「ちょちょちょ!!俺の目の前でおっぱじめそうな空気出さないで!!」
「…琉。俺は天を諦めないから」
「いや!あの!その!違くて」
「俺も理苑を諦めないよ」
「いや!だから!俺の話を聞け」
その時ドアベルが鳴った
二人がやっと来てくれたのだ。よかったぁ!!
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