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いじっぱりにキス 第7話(佐々木)
「……俺しばらく前からEDなんだよっ!!」
相川がヤケクソのように言い捨てた。
「え、ED……?」
「ね~、佐々木、EDって何?」
雪夜が無邪気に聞いてくる。
「EDは……勃起不全。要はセックスするときに勃たないってことだよ」
茫然とする佐々木に代わって、相川が雪夜に説明する。
「相川勃たないの?」
「うん」
「じゃあ、エッチできないの?」
「うん」
無邪気な雪夜の質問に、相川が苦笑いで答える。
「……冗談だろ?」
「マジだよ」
「だって、お前彼女いたじゃないかっ!!」
「前の彼女とはそれが原因で別れた」
「え、じゃあ……いつから……」
相川がEDになってたなんて、全然知らなかった……
だって、何も相談してくれなかったし……
「あ~かれこれ……半年近く?彼女としようとしたら、急に勃たなくなって……あれって、急になるのな……話には聞いたことあったけど、実際になるとめっちゃ焦る……」
「なんで俺に相談してくれなかったんだよ……」
「いくらお前でも、こんな恰好悪いこと相談できるかよ……」
相川が顔を顰めて自嘲気味にハハッと乾いた笑い声をあげた。
こいつがそんな顔をするところなんて……初めて見た……
「でも、その後、自分で何とかしようとして、AV観たり、何人かと試してみたりしたけど、全然だめで……さすがに病院行こうか迷ってた時に、酔っ払ってお前と……お前とキスしたら勃起した……」
「……は?」
「だから、他のやつじゃ全然だめだったのに、お前だったら勃起したんだってっ!」
相川が不貞腐れたような顔で横を向く。
その耳が赤い。
相川が俺で勃起した?え、どういうこと?
「じゃ……じゃあもうEDは治ったってこと?」
「治ってない。相変わらず他のやつじゃ勃起しない。でもお前には反応する」
「なん……で?」
「正直、わからん!あ~……まぁ、これには俺自身が一番混乱してるから、EDのことは一旦おいといてだな……」
相川が気まずそうに頭をガシガシと掻く。
いや、おいとくなよ!!そこ一番重要だろ!?
「EDが治ったら、別に俺じゃなくてもいいってことだろ?じゃあ、病院行けよ。そしたら解決だろ?」
「俺は、翠で勃起するから別にいい。他のやつに反応しない方が、翠も安心だろ?お前心配症だし」
「他のって……そうだ、俺で勃起したってことは、男に反応したってことだろ?じゃあ、他の男で試してみたら……」
「男も試した。だから、俺だっていろいろ試したんだってば!でも、結局勃起したのは翠だけだったし、そもそも、興奮するのも翠だけだったのっ!」
「……」
「いい加減、納得した?」
納得ってなんだよ……いろいろ試したって一体誰とどう試したんだよ!?
いや、俺にだけ勃起するっていうのは……それはそれで嬉しいけど……でも、それって結局生理現象だし……俺のことを好きっていうのとは違うよな……?
「あの~……翠?聞いてる?お~い……」
あ、そうか……つまり……
「わかった……お前のEDが治るまで、セフレ兼親友でいてやるよ。それでいいだろ?」
性欲処理を手伝ってくれる相手が欲しいってことだろ?
「はぁああああ????良くないだろぉ~!?何言ってんのお前!俺の話聞いてた!?俺はお前が好きだっつってんの!!」
「だから、それは俺で勃起したからって話だろっ!?」
「それもあるけど、でもそれじゃあお前は、全然知らないやつに勃起したからってそいつのことが好きってなるか!?例えば可愛い女の子とか巨乳の子とかエロい恰好してるのとか見たら勃起くらいするだろ!?ヤりてぇなって思うだろ!?でもその子が好きとか、付き合いたいとは別に思わないでしょうが!!」
「お、おぅ……?」
相川の勢いに圧倒されて一瞬理解が追い付かなかったが、つまり、生理現象と感情は別って話?で、それを踏まえて、相川は俺のことが好きってことなら……
「……あ~もぅ……面倒くさいな……」
「なっ……!」
面倒くさいってなんだよっ!!俺にとっちゃ一大事で……
相川が佐々木の手を引っ張って抱き寄せた。
「俺がバカなの知ってるだろ!?これでも俺にしてはだいぶ頑張って伝えたと思うんだけど!?これ以上言葉にすんの無理!!!」
言葉にするとかそういう問題じゃないと思うんだが……
「後はもう……実力行使でわからせるしかないよな」
「は?……っておい、何を……っ」
佐々木が頭の中が整理できず戸惑っていると、いつの間にか相川に押し倒され、抵抗できないように両手首を頭の上で交差させられ床に押し付けられていた――……
***
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