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キスはしてもいいですか!? 第3話(相川)

「えっと……移動する時間が惜しいから、ここでいい。デカい声出さないように気を付けるから……」  今日は雪夜はバイトが休みらしいので、夏樹はなるべく早く話を終わらせて雪夜のところに帰りたいはずだ。  それでも、適当な返答で誤魔化そうとしない夏樹を見て……雪夜が夏樹に惚れている理由が少しだけわかった気がした。   「わかった。で?」  缶コーヒーを飲み切った夏樹は、相川に続きを促した。 「……え~と……俺、今までもあいつのこと、たぶん親友以上にみてたんだけど、男同士だから恋愛とか恋人っていうのに結びつかなくて、自分の気持ちがわかってなかっただけなんだ。……あいつに好きだって言われて、抱いた時になんか、ようやく、いろいろしっくりきたっていうか……だから……」  興味本位だとか……ヤりたいだけとか……そんな軽い考えで抱いたわけじゃない……  いくら俺でも、その行為が親友とするものじゃないことくらいわかってる。  いや、たしかに最初は半分酔ってたけど……  でもなんか……(あきら)とは幼馴染で親友で、いつも一緒にいるのが当たり前で……だから、別に恋人になってもそれは同じだと思っていた。  だって、お互いに彼女がいた時だって、彼女といるよりも翠といる時間の方が長かったから……  それなのに、あれから2週間近く近寄ることさえできてない……  たぶんそんなに離れているのは翠と友達になってから初めてだ。  俺このままずっと翠に触れることができないの?  俺がめちゃくちゃヤっちゃったから?  じゃあ、性欲を我慢すれば、翠は機嫌直してくれるのかな?  もうセックスはしないって言えばいいのか?  そしたら、あいつは前みたいに普通に接してくれんの?  でも、俺他の人じゃ反応しないから、溜まってもひとりで抜くこともできないし……  他のやり方……  翠、手でやってくれるかなぁ~……  口は~……絶対ダメだな。うん。やってとか言ったら、噛み切られそう……   「お~い、相川……」 「え?」 「今の全部だだ漏れだぞ?」 「え、俺口に出してた!?」 「出してた。大丈夫か、お前……」  夏樹が哀れみの目で相川を見てきた。 「だいじょばないかもしれない……どうしよ~!?どうすれば翠の機嫌直ると思う!?」 「さぁ?付き合いの長いお前がわかんないのに、俺がわかるわけないだろう?」 「で~す~よ~ね~~~~!!!」 「ところで、お前はあいつのどこが気に入ってんの?全然違うタイプだよな?」 「あ~まぁ、翠は頭良くて優等生だからな~……たしかに俺たちは全然正反対なんだけど――」  相川は、夏樹の言葉に少し斜め上を見た。  全然違うタイプ……か…… ***

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