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キスはしてもいいですか!? 第7話(相川)
「ぐぇっ!?ちょっ……翠 さん!?」
「ん~?」
頭をあげようとした相川は、頭にズシリと重みを感じて動けなくなった。
「あの~……何してるんでしょうか?」
「お前の頭に足を乗せてるんだよ?」
「なんでっ!?」
「え?だって目の前に頭があったら、足乗せたくならねぇ?」
「ならないだろっ!?鬼畜かよっ!?」
「誰が鬼畜だっ!!だいたい、急に頭下げてきたら踏みつけて欲しいのかと思うだろ?」
「だから、普通思わねぇよっ!!」
「だったら、いきなり土下座なんてするなバカっ!!」
「うそぉ!?土下座して怒られたぁあ!?理不尽っっ!!」
「俺は土下座しろなんて一言も言ってねぇし!!」
それはそうだけどぉ~……
ようやく翠が足を退けてくれたので、頭をあげる。
翠に上から押し付けられたので、床で擦れた額がちょっと痛い……
「誠意を見せただけなのにぃ~……」
「土下座なんて意味ねぇだろ。それより、次同じことしたら……もう口聞かねぇからなっ!」
「はいっ!もうしません!!ごめんなさいっ!!」
「それならいいけど……それで?尻のことを謝りに来ただけ?それとも、他に何かあるのか?」
「あっ!あるある!だから、翠が好きだっ!」
「何の話だよっ!!お前さっきから脈絡がなさすぎるわっ!!」
「え?いや、だから、え~と、腫れるまでヤったことに関しては反省してるけど、俺お前のこと本当に好きだから!で、そういうわけだから、キスはしてもいいですかっ!?」
「……はぁ~~……あ~もぅ……とりあえず、飯食うぞ」
翠が一瞬顔を顰めた後、こめかみを指で揉みながら大きなため息を吐いて、冷やし中華が盛られた皿を渡して来た。
「わーい!飯ぃ~!」
「タレが足りなかったらゴマドレッシングでもかけろ」
「はーい!……って、お前の分は?」
「俺のはコレ」
翠は、一体いつの間に作ったのか、麺を素麺にした冷やし中華風素麺を盛った皿を持ってきた。
「素麺?」
「冷やし中華用の麺は一人分しかなかったからな」
「え、俺のせい?ごめん」
「あ?別に、中華麺が一人分しかないってだけで、元々お前のは素麺で作るつもりだったし。お前のせいで茹でるの失敗したから逆にしただけで――……」
なんだかんだ言っても、最初から相川の分も作ってくれるつもりだったらしい。
そっぽを向いている翠の耳が赤くなっているのを見て、思わず顔がにやけた。
「翠ぁあああ~~!!」
「おわっ!?」
抱きつこうとする相川の顔面を、翠がガシッと手で掴んだ。
ちょっと……顔面掴むってどうなの?
「あ~もう!!鬱陶しい!!いいから食えっ!!」
翠に押し戻されて、元の位置に戻る。
「ふぁ~いっ!」
「食いながら喋るなっ!!」
「……んっ!」
翠に怒られたので、手をあげて返事をした。
だいたい食事の時のこの流れは子どもの頃から変わらない。
別に食事マナーを知らないわけじゃないので、いくら俺でも他のやつらと食事に行ったときにはこんなに大騒ぎしない。
翠と二人で食事をする時だけだ。(あ、雪ちゃんがいてもしてるけど)
だって、翠の反応が面白いから!!
「口の横、麺ついてるぞ」
「え、どこ?」
「違う、ここ。っつーか、どうやったらこんなとこに麺がつくんだよ」
ブツブツ文句を言いながら相川の口についた麺の切れ端をとって、翠がパクッと食べた。
ん?食べた?
「なーなー、翠!!今のもっかいやって!?」
「は?何で?」
「だって、何か恋人っぽいじゃん!?」
「え……?」
え?だって、恋人同士でよくあるシチュエーションだよね?
口についてるの取ってペロって……!!
相川の言っている意味がようやくわかったのか、翠の顔が赤く染まっていったかと思うと、相川の顔にタオルをぶつけてきた。
「……もう絶対しねぇっっっ!!!!!!」
「なんでぇええええええええ!?」
――……
***
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