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キスはしてもいいですか!? 第9話(相川)※
「ちょっ……んっ……」
相川は翠を押し倒すと、文句を言おうとする翠の口を塞いだ。
俺は別に自分が特別キスが上手いとは思っていない。
そもそも、キスもセックスも、上手いかどうかなんて本人にはわからない。
相手が他の誰かと比べて、上手いか下手かを口にして初めてわかるわけで……それだって基準としては曖昧だ。
ただ、抵抗していた翠が、自分のキスで蕩けていくのを見るのは何とも言えない満足感がある。
「っ……ん~~~っ!!」
「なに?」
翠が背中をバシバシ叩いてくるので一旦口唇を離した。
また息が苦しくなったのかな?
「翠、まだキスの時に息止めてるの?そろそろ鼻で呼吸できるようにならないと~……えっちなキスができないじゃんかぁ~」
「ぅ……うるさいっ!だったらしなくていいしっ!!」
「ええ!?いや、ごめんなさい!息止めてもいいです!キスしたいです!!」
「し・な・く・て・い・いっ!!」
翠が相川の顔面を掌で押しながら、自分の顔を隠した。
今拗ねられるのは困る!!
っていうか、翠の方が頭良いんだから、そういうのも覚えるの早いはずなのにな~……
翠は俺以上にモテるくせに、なぜかキスの息継ぎが下手だ。
まぁ、モテるからと言って彼女をとっかえひっかえして遊ぶようなやつじゃないから、付き合った人数は俺が知っている限りではそんなに多くはない。
それに、俺のことがずっと好きだったと言うのが本当なら、彼女を作っていたのはカモフラージュだったってことだから、付き合った人数が少ないのも、キスが苦手なのも、納得できる。
そう考えると、ちょっと顔がにやけた……
「翠ぁ~!ごめんって、キスさせてよ」
顔を隠している翠の手を掴んで床に押し付ける。
「……っ今日は……挿 れんなよ?」
「はい!今日は最後まではシません!たぶん、きっと!」
「お前心の声が駄々洩れ!!断言できないならもう帰れっ!!」
「だって、お前がしてもいいって言ったのに!?」
「あれはっ……だから……シてもいいけど、でも今日は準備してねぇし……」
「あ、そうか。え、じゃあ風呂入る?」
男同士はヤる前の準備があるんだっけ……
前にヤった時に翠が何か言ってたな……
「だから、今日は最後までシないってっ!!」
「ぇ~……」
ここまで期待させておいて~?
ちょっと不満だったが、夏樹に「もっと労わってやれ」と言われたことを思い出す。
そうでした……今日は我慢!!大丈夫!俺我慢できる子!!翠のことが好きだからっ!!
「わかった。今日は手だけで我慢する!」
「え?手って……っ」
翠にキスをしながら、自分の固くなったモノを取り出す。
はぁ~……なんで翠にキスしただけでこんなに元気になっちゃうかなぁ~……
夏樹も言っていたように翠を好きになったこととEDになったことの関連性は全然わからないが、今の俺のオレは何をしても勃たなかったとは思えない程元気だ。
自分の身体が謎だ……
「な、翠。触って?」
「ん……ぇ?触っ……ええ!?」
キスの合間に翠の耳元で囁くと、蕩けていた翠が一瞬ビクッとした後、我に返って目を見開いた。
「触るのはいいだろ?っていうか、挿れないならそれしかないし?」
「ぅ……わ……わかった……」
翠がちょっと躊躇しながら相川の股間に手を伸ばした。
おずおずと握って来る翠の手の感触が、何だかくすぐったい。
口でしてって言わなくて良かった……手でこれだもんな~……
「しごいて?」
「い、いちいち言うなっ!!」
「だって、翠なかなかしてくれないんだもん」
「するってばっ!!」
「そ?じゃあ、俺は翠のしてあげるね」
「え!?いやいやいや、それはいいからっ!!俺のは触……ぁ、んっ」
ほら、翠ももう固くなってるし?
相川が翠のモノをしごき始めると、翠が自分の腕で口を押さえた。
目をぎゅっと閉じて声を我慢しているのが結構そそられる。
でも……
「翠、手が止まってるけど?」
「だって……んっ、お前がっ……触るからっ!」
「え?一緒に触る方がいいって?も~仕方ないなぁ」
「あっ……やだっ!……んんっ!?」
自分のモノを握っていた翠の手を退けて、翠のと擦り合わせる。
いくら口で嫌だと言っても、男は隠せないもんな~。
翠のモノはちゃんと気持ち良さそう……
「相川っ……やだってばっ!!」
「なんで?気持ち良さそうに濡れてるけど?」
「やめっ……すぐイっちゃう……からぁっ!」
相川の両肩を掴んで押しのけようとしているらしいが、全然力が入っていない。
「っは、ぁ……っ」
小さく喘ぎながら頬を上気させた翠の眉尻が下がって瞳が潤んでくる。
しかめっ面だった翠の顔が崩れるこの瞬間が最高に興奮する……
あ~もうこの表情たまんない……っ!
相川はペロリと口唇を舐めると、翠の耳朶を甘噛みしながら囁いた。
「翠、イって?」
「……んん゛~~っ!?――……」
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