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甘い唾液 5
オレは喉の奥でくつくつと笑いながら、
「あっそ。・・・ちゃんと味わって食べろよ」
必死な珀英が見れて嬉しくて愉しくて、冷蔵庫に寄りかかって見ていたら、珀英は嬉しそうに微笑みながら製氷皿の裏に水を掛ける。
何をするのかわからずそのまま見ていると、珀英は何度か水の温度を上げながら、製氷皿の裏に水をかけ続けて、ほどよく溶けた時にチョコレートを取り出した。
そのチョコを口に含んで。精悍な顔が、嬉しそうに微笑む。
珀英の大きな瞳が閉じられて、薄い口唇が楽しそうに歪んで、熱い口の中で長い舌がチョコを舐めて溶かしているのが、動きでわかる。
まるで、オレの全身を舐める時のように、舌の奥から先端まで使って、丁寧に、丁寧に。
舐める。
腰から背筋にかけて、異常な快感が走った。
オレの作ったチョコを珀英がじっくりと舐めている姿に、妙に興奮する。まるで自分の体の奥深くまで舐められているような、異常な感覚にぞくぞくする。
珀英の舌が、胸を、腰を、太腿を這う感触を思い出す。
熱い、ねっとりとしたあの感触。
オレの存在そのものを、愛撫(あいぶ)するような、吸い尽くすような、弑虐(しいぎゃく)するような、あの異常な快楽と興奮。
思わず呼吸が上がってきた時、珀英が不意に瞳を開けた。
その熱っぽい瞳と、目が合った。
ビクっ・・・と体に力を入れた瞬間、珀英の大きな手がオレの後頭部を掴(つか)んで、強く引き寄せられて大きな胸の中に閉じ込められ、冷蔵庫に全身押し付けられて、動けなくなった。
長い指がオレの顎(あご)を捕らえて、上に向かせると珀英が覆(おお)いかぶさるように、キスをする。舌が口唇を割って入ってくる。
いきなりの激しいキスに戸惑っているその瞬間に、甘ったるいどろっとした液体が口の中に入ってきた。
珀英の口の中で溶かされたチョコが、唾液と混ざって、オレの口の中に侵入(はい)ってくる。
「んんぅんっ・・・はぁっっぁんっ・・・あああぁんふぁぁ」
口に入ってきた唾液の、あまりの甘さに思わず珀英の胸を押し返すと、珀英がオレの体を腰からきつく抱きしめて、背中に当たる冷蔵庫に強く押し当てて逃げられなくされる。
珀英のパーカーを掴んで、引き剥(は)がそうと引っ張ってみても、1ミリも動かせないので全く意味がないことを悟る。
珀英の舌が、口の内部を全て蹂躙(じゅうりん)する。特に上顎の奥が性感帯で弱いのを知っているから、そこを中心にまさぐられて。
舌も吸われて舐めて、吸われて、痺(しび)れて・・・気持ちがいい。
チョコを溶かした唾液は変わらず注ぎこまれて、舌が犯され、声帯が犯され、食道を通って胃の中、その更に奥まで犯される。
オレの唾液とも混ざって、溢れる甘い唾液に眩暈(めまい)がする。
ああ・・・気持ちがいい・・・。
こんな風にぐっちゃぐちゃに求められることが気持ち良くて。
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