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第12話 出会い ③ ー伊吹sideー

「この本、面白いですよ」 「え?」 伊吹の目の前に、持っていた本の一冊を取り出した。 「この本の闇の部分は、臨場感があって読み応えがあります。一度読まれて損は無いと思いますよ」 優しい笑顔で、伊吹に本を手渡した。 「あ、ありがとうございます」 優しそうな、いい人。 伊吹は一瞬、その笑顔に見惚れてしまった。 「それではこれで…」 男性が立ち去ろうとした時、 「孝司、探してた本見つかったよ」 男性の側から、人影がひょこっと現れた。 わ〜、可愛い〜。 声からして、男の子かー。 見た目の年齢は16歳ぐらい。 くりくりとした瞳に、うっすらとピンクがかった頬。 そして絹のように滑らかな肌。 柔らかな髪質に、淡い髪色がとても綺麗だ。 「こちらの方は?」 伊吹の事に気がついた、その男の子が孝司の方をみあげる。 「さっき、ここで会ったんだよ。この方も俺と同じ作家さん好きなんだって」 「そんな素敵な偶然あるんだね」 男の子が微笑むと、孝司も微笑み返した。 なんて素敵なカップルなんだろう…… 伊吹がうっとり二人をみつめていると、 あれ? あの男の子、頸を噛まれないように首にアルファ除けのチョーカーつけてる。 って事は、この子オメガなんだ。 孝司って呼ばれてた人はアルファぽいし、将来は番になるのかな? 俺もオメガだったら、蒼は俺を番にしてくれたのかな? 伊吹この二人の関係がちょっと羨ましくもあった。

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