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第37話 突然の電話 ② ー伊吹sideー
驚きで伊吹は言葉を詰まらせる。
「…….。あの、蒼に柚から電話があった、と。折り返しまた電話すると伝えていただいていていいですか?」
「わ、わかりました。伝えておきます」
「よかった…。よろしくお願いします」
そう言うと、柚は電話を切った。
柚くん………
この間本屋で偶然あった、あの柚くん…
あの時なんの前兆もらなかったのに蒼と手が触れただけで、柚くんは突然ヒートになって蒼も今まで見たことないぐらいに、柚くんの香りにあてられてた。
あの蒼の反応。
柚くんは蒼の……運命の……
「伊吹〜、出来たよ〜」
「……」
「伊吹?」
「え?」
柚の事を考えていて伊吹は上の空だった。
「ご飯できたよ。って言ったんだけど…。聞いてた?」
蒼はいつものように微笑む。
「あ…、ごめん。聞いてなかった…。今行く」
伊吹は先程、頭をよぎった疑惑で胸が騒つくのを隠すように取り繕った笑みを溢した。
「?どうかした?」
蒼は伊吹の異変に気付が、
「なんでもないよ」
そう無意識に言ってしまった伊吹は、柚からの電話の事を言うタイミングを逃していた。
柚くんから電話があったって、言わなくちゃ……
でも言ったら、今度こそ蒼は柚くんと話をして……
会うことになったら、
その時、もし前みたいなことになったら……
今度は確実に………
「伊吹、大丈夫?」
「‼︎」
伊吹は蒼が伊吹を覗き込んでいたことに気がついていなかった。
「大丈夫…」
本当は不安でいっぱいだったがそれを隠し、テーブルについた。
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