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第83話 ー診察 ① 伊吹sideー

診察室で問診を受けた。 そこは普通の診察室…とは全く違っていた。 柔らかな絨毯が引かれ、伊吹が座るのはゆったり座れるソファー、そのソファーに対面するように質の良さそうな椅子が二脚置かれ、そこに勇気と瑆がそれぞれ座っている。 そしてソファーと椅子の間にはローテブルが置かれ、それぞれの飲み物が置いてあった。 部屋の中はゆったりとした時間が流れて、とても落ち着く。 まるで海外ドラマに出てくるカウンセリングルームのようだ。 「…ということは、伊吹くんは今までフェロモンが出ている自覚はなく、一緒にいるアルファの彼も…蒼くんからも言われたことはなかった…」 勇気は伊吹の話をまとめた話をPCの中に打ち込んだ。 「はい…」 「ここ最近、今までと違ったことはなかった?どんな些細なことでもいいんだ」 瑆が優しく微笑む。 う〜ん… 学校でも家でも、いつも通りだし… 「伊吹くんは蒼くんと一緒にいる事が多いんだよね。じゃあ、蒼くんの変化はなかった?」 答えに困っている伊吹の様子を見た瑆が聞いた。 蒼? 蒼は…

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