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第84話 ー診察 伊吹sideー
「蒼は凄く変わりました。ついこの間、偶然同級生のオメガの子に会ったのですが、その時彼から放たれた大量のフェロモンに当たってから、ラット抑制剤を飲む量がすごく増えたんです。…あの反応の仕方は、同級生の彼が蒼の番だと思います…」
伊吹は自分で言っておきながら、蒼の番が柚だと認めさせられたようで、心が痛かった。
伊吹の答えを聞いて、勇気が少し考える。
「蒼くんが抑制剤飲む量が増えたんだ…。それはその同級生の彼と一緒にいる時?」
「俺と一緒の時は彼と…俺は柚くんと一緒じゃないのでわからないですが、柚くんと一緒じゃない時も蒼は飲んでます」
「柚くんと一緒の時、伊吹くんはいない…。でもそのほかでも薬を飲んでいる…。彼はちゃんと病院から処方されてる薬飲んでる?」
「はい。蒼のお兄さんがオメガ外来のある病院で働いているので…」
「あー、有名なオメガ外来があるのは東総合病院か…。じゃあ大丈夫だな。じゃあなぜ……」
勇気が眉間にシワをよせまた少し考え、何やら瑆と話し合うと、
「伊吹くん、ちょっとエコー撮らせて」
瑆が微笑んだ。
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