103 / 194
第105話 ーー『α、Ω適応検査』 ② 蒼sideーー
いつもならラット抑制剤を飲むぐらいだ。
体が燃えるように熱い。
理性が飛びそうだ…
ダメだ‼︎
ダメだ‼︎
ダメだ‼︎
伊吹のためだ‼︎
伊吹の治療のため‼︎
伊吹の体を守るため‼︎
蒼は手をグッと握りしめ、めいいっぱい拳に力を入れた。
大きく深呼吸をし落ち着かせようとするが、吐く息でさえ熱い。
それでも懸命に耐える。
全ては伊吹のために…
蒼がラット誘発剤を打たれてから3分が経った頃、部屋のドアが開けられ、勇気が部屋に入ってきた。
「蒼くん採血するね」
そういうと、手際よく採血をし、蒼にラット抑制剤を渡す。
「これは普通の抑制剤より強いから、強いラット時でもすぐに効き目が出ると思う」
「ありがとう…ございます…」
薬を受け取る蒼の手は震えていた。
「検査は院内で行うから、結果は夕方には出るよ。それまでは院内でゆっくりしておくといい。伊吹くんと蒼くんの体調が安定したら会えるよう、手配しておくよ」
そういうと勇気は、
「よく頑張ったね」
蒼の頭を優しく撫で、部屋を出て行った。
ともだちにシェアしよう!