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第110話 ー伊吹の話と蒼の話 ① 伊吹sideー

「それより伊吹くんの事、教えて」 話を逸らすかのように、勇気は伊吹に言った。 「俺の事ですか?」 「そう、伊吹くんの事。例えば…好きな食べ物とか……あとは……。なんでも」 次の質問が思い浮かばないというように、勇気は笑ってごまかす。 菊池先生、わざと違う話題を俺に振って、お兄さんの話で俺が申し訳なく思わないように、してくれてるんだ…。 「好きな食べ物は『黒枝豆』で、好きな飲み物は『お砂糖入りのホットミルク』です」 「‼︎枝豆に甘いホットミルクが好き⁉︎なんだか…すごいね…」 何が凄いのか伊吹にはわからなかったが、とりあえず笑われなかったので、伊吹はほっとした。 だいたい、これ言うと笑われるもんな… 「黒枝豆って、またレアな枝豆が好きなんだね」 なぜか、勇気は枝豆に食いつく。 「中の薄皮が少し黒くて、枝豆自体は緑なんです。甘味もあって美味しいですよ!」 「聞いてるだけで美味しそう。ビール飲みたくなってくる」 勇気が興味を示してくれたことが嬉しくて、伊吹はどんどん話し出した。

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