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第119話 ー蒼の告白 ⑧ 伊吹sideー

「………」 蒼は黙り込んでいる。 「蒼、俺一人何もできないのは嫌なんだ。柚くんが困っているなら、俺も助けたい。助けさせて欲しいんだ」 何ができるわけじゃないかもしれない。 でも、柚くんの… 蒼のそばにいるぐらいは、俺にもできる‼︎ 「伊吹が強いのはわかってる。でも不安なんだ…。もしも伊吹に何かあったらって…。もし、伊吹に何かあったら俺は自分を許せないし、生きていけない……」 「…」 蒼、何をそんなに怯えているの? 蒼のそんな気持ちから… 俺は蒼を助けてあげることは…できないの? 俺は何かできないの? 何もできないの? ねえ、蒼…… 「わかったよ、蒼。俺は何も知らない…。ただ蒼を信じるよ」 今、俺ができることは、これぐらい。 蒼の気持ちを不安から守ってあげる事。 これぐらいしかない。 だから蒼、 蒼の思う時がきたら、俺に教えてくれよ。 何にそんなに怯えていたか… 必ず… 抱きしめられながら伊吹は目を閉じた。

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