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第139話 孝司との出会い ①

柚が母親と突然の別れを告げられた数ヶ月後、 春日山児童養護施設に、よく訪れてくれる人が現れた。 校庭で遊んでいた柚は、ある人物の姿を見て目を輝かせ、 「あ‼︎堀内のおじさん‼︎」 堀内と呼んだ40歳ほどの男性のところへ、駆け寄って行った。 「やぁ柚くん。こんにちは」 堀内は駆け寄ってきた柚の頭を撫でる。 「柚くん‼︎『堀内さん』でしょ?」 柚の言葉を訂正しようと、慌てて清美も2人に駆け寄る。 「気になさらないでください。私は『堀内のおじさん』って呼ばれる方が好きですよ」 そう言いながら、堀内の周りに駆け寄ってきた他の子供達の頭も撫でた。 「それで、院長先生はいらっしゃいますか?」 「はい。ご案内します」 清美が堀内を案内しようとすると、子供達が口々に 「やだよ〜。先に遊んでよ〜」 「お絵本読んで〜」 堀内の手を引っ張る。

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