140 / 194

第142話 蜘蛛と巣と蝶 ①

東総合病院にある個室で、柚は眠り続けていた。 「もうそろそろ起きてもいい頃なのに、まだ目覚めない…」 「そうだな…。もう3時間も寝続けている」 学と和臣は寝続けている柚を見た。 つい数時間前、死にそうになっていた人とは思えないような寝顔。 「もう少し様子を見てみよう」 「そうだな」 和臣と学が話し合っていた、そんな時 「‼︎」 「‼︎」 柚の顔を見ていた和臣と学が驚き、目を見開く。 なぜなら、 「‼︎柚くん……泣いてる?……」 学が柚の寝顔を覗き込んだ。 そこには眠ったまま、切なそうな、悲しそうな表情で眠る柚の目尻から、大粒の涙がポロポロと流れ出していた。

ともだちにシェアしよう!