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第148話 蜘蛛と巣と蝶 ⑦

「僕、待ってないよ」 本当は30分ぐらい待ったけど。 「とりあえず座わらない?」 柚は孝司を誘った。 孝司は静かに柚の隣に座るが、何か心に決めたように立ち上がると、 「‼︎孝司さん⁉︎」 ベンチに座る柚の前に跪き、柚の手をとる。 そして、 「柚、俺と付き合ってくれませんか?」 「!!!!」 柚の瞳を真っ直ぐ見つめた。 「柚が高校生になったら告白しようって決めてた。でも柚とは歳も離れてるし、俺は働きだしたところで、収入も全然安定していない。だから、柚を幸せにできるかわからないけど、今俺ができる精一杯の事をしていきたいと思ってる。だから俺と、結婚……」 「ちょ‼︎ちょっと待って‼︎‼︎」 突然の事で、驚いた柚は耳の裏…、いや、体全身が真っ赤になっているかと思うほど、顔を真っ赤にし、孝司に握られた手を見つめる。 「あの……、その……、さっき孝司さんが言ってたのって、告白…ですか?その…、プロポーズ…ですか?……」 柚は自分で尋ねておきながら、恥ずかしさのあまり、頭から湯気が出そうになる。 「!!!!あ‼︎告白であって…でも、柚が成人したらプロポーズもしたいと思って……。って‼︎違うんだ‼︎告白‼︎そう告白‼︎今は告白‼︎」 孝司はほぼパニック状態。 立ち上がったかと思うと、柚の前を行ったり来たり。

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