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第155話 ー蒼の寝坊 ① 伊吹sideー

「蒼ー‼︎遅いってば‼︎遅れちゃうよ‼︎」 出かける準備を済ませた伊吹が、玄関から蒼を呼ぶ。 「ごめん‼︎」 上着を着ながら、蒼は伊吹の待つ玄関へと急いだ。 「だから、なんども起こしたのに‼︎」 『急いで、急いで』と、伊吹が駆け足の真似をする。 「ごめんってば…。本当にごめん‼︎」 大急ぎで靴を履き… 「鍵閉めるよ」 「お願い…って、携帯忘れてる‼︎」 カバンをごそごそしていた蒼が叫ぶ。 「早く持ってきて‼︎一限目のテストに遅れちゃう‼︎」 「伊吹、ごめん‼︎」 「それはいいから、早く‼︎」 病院から帰ってきた次の日。 2人は大学へ行くべく身支度をしていた。 その日は一限目から、どうしても落とせないテストがあり、いつもは蒼が何度寝でもする伊吹を起こしていたが、今日は伊吹が何度起こしても蒼は起きなくて…… そして、今に至っていた。 こんなこと初めてだ。 夜中、何度も目が覚めてたみたいだし… 「蒼、本当に大丈夫?」 「大丈夫!本っ当にまたせてごめん」 携帯を片手に、大急ぎで家の鍵を閉める。 「ならいいんだけど…」 伊吹はぽつりとつぶやいだが、すぐに蒼と共に大学へと駆け出した。

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