161 / 194
第163話 フェロモンの波 ーー蒼sideーー
伊吹のフェロモンは放出は波があるようで、増えたり減ったり…
それでも伊吹はいつもと変わらず、楽しそうに蒼のそばを離れようとしない。
伊吹自身は特に変わりなさそうだから、大丈夫だと思うけど…
やっぱりこの可愛さで、このフェロモンはキツい…
蒼は伊吹に見つからないよう、こっそり抑制剤を飲もうとしたが、
「あ!蒼、薬飲もうとしたでしょ。そんなに辛いの?」
伊吹が駆け寄ると、フワッと伊吹の香りが蒼の脳をくすぐる。
これはヤバい…
「伊吹が可愛すぎて押し倒しそうになるから、一応念のためにと思って。だから伊吹が心配するような事はないよ」
蒼が伊吹の頭をぽんぽんと優しく叩くと、伊吹が蒼に抱きつき
「俺は…、押し倒してくれても…、いいけど…」
チラッと蒼を見る。
!!!!
あー、まずい…
今すぐ、
今すぐに押し倒したい…
でも、
「伊吹の体が落ち着くまで、俺、我慢するよ」
「そんなの寂しいよ」
伊吹はなおも蒼から離れない。
あー、だめだ……
欲望に流されそう…
「俺もだよ、伊吹。だからお願い。薬飲ませて…」
蒼は伊吹に頼み込んだ。
ともだちにシェアしよう!