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第163話 フェロモンの波 ーー蒼sideーー

伊吹のフェロモンは放出は波があるようで、増えたり減ったり… それでも伊吹はいつもと変わらず、楽しそうに蒼のそばを離れようとしない。 伊吹自身は特に変わりなさそうだから、大丈夫だと思うけど… やっぱりこの可愛さで、このフェロモンはキツい… 蒼は伊吹に見つからないよう、こっそり抑制剤を飲もうとしたが、 「あ!蒼、薬飲もうとしたでしょ。そんなに辛いの?」 伊吹が駆け寄ると、フワッと伊吹の香りが蒼の脳をくすぐる。 これはヤバい… 「伊吹が可愛すぎて押し倒しそうになるから、一応念のためにと思って。だから伊吹が心配するような事はないよ」 蒼が伊吹の頭をぽんぽんと優しく叩くと、伊吹が蒼に抱きつき 「俺は…、押し倒してくれても…、いいけど…」 チラッと蒼を見る。 !!!! あー、まずい… 今すぐ、 今すぐに押し倒したい… でも、 「伊吹の体が落ち着くまで、俺、我慢するよ」 「そんなの寂しいよ」 伊吹はなおも蒼から離れない。 あー、だめだ…… 欲望に流されそう… 「俺もだよ、伊吹。だからお願い。薬飲ませて…」 蒼は伊吹に頼み込んだ。

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