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第164話 フェロモンの波 ② ーー蒼sideーー
「おやすみ蒼」
「おやすみ伊吹」
あの悪夢以来、伊吹は蒼に抱きしめられながら眠っている。
そしてちょうど今、伊吹は蒼の胸に顔を押しつけ、眠りにつこうのしていた。
昼間に出ていた伊吹のフェロモンは、薬を飲まなくても次第に薄くなり、蒼がそばにいても大丈夫になっていた。
今回みたいにフェロモンの変動があるってことか…
次の診察の時に、きちんと伝えておかないと。
蒼は伊吹のフェロモンが放出され出した時間と、自分の体感をメモしてから、
「おやすみ、伊吹」
寝息をたてる伊吹の額にキスをし、自分も眠りについた。
深夜、1時をまわった頃、蒼は伊吹のフェロモン
の甘い香りで目が覚めた。
今度は濃いな。
伊吹の香りで、頭がクラクラする。
その滑らかな肌を啄むようにキスをして、蕩けていく伊吹の身体を隈なく甘やかしたい…
そんな伊吹は安心しきり蒼にくっつきながら、隣で寝ている。
そうだ。
学さんに出してもらっている薬も残りわずかになってきてるし、今回は新しく処方された薬を飲んでみよう。
蒼は伊吹を起こさないよう、そっとベットから抜け出そうとしたが、
「…あおい?」
うつらうつらとだが、伊吹らすぐに目を覚ました。
「ごめん、起こしたね。すぐ戻るから待ってて」
「うん」
蒼が伊吹の額にキスをすると、またスヤスヤと寝息をたてる。
あれ以来、伊吹の寝も浅い。
それも蒼にとって、心配事の一つだった。
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