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第171話 蒼の寝坊 ③ ーー蒼sideーー
やってしまった………
最悪だ………
大学内のカフェで、頭を項垂れる蒼。
「大丈夫だって!」
それを慰める伊吹。
「いや、あれはやばい…」
本当にやばい。
教授にだって、嫌味を言われたんだぞ…
イラっとして、目が覚めたけど。
「テスト中、寝てしまうぐらい誰でもあるって」
伊吹がどう言えばいいか分からず、あたふたしている。
「いや、ない…。伊吹はあるのか?」
「‼︎…ないけど……さ…。でも、一応、4分の3は書いたんだろ?じゃあ合格点だって」
「でも、一問でも間違えてたらヤバい……。それに問いてた時の記憶があやふやだし…」
いつテストが始まって、何を書いたか記憶がない‼︎
名前だって書いたか、不明だ。
「大丈夫だって!」
全力で蒼を慰める伊吹だっだ、蒼には届いてなさそうだ。
今日一限目のテスト。
蒼は途中で寝てしまっていた。
しかも授業終了のベルがなっても気が付かず、教授に『優等生は余裕だけね。私のテストはそんなに簡単でしたか?』と、嫌味まで言われていた。
大きなテストではないが、今日の成績は学期末のテストに響いてくる。
蒼のことだから、今までのテスト、講義態度、完璧なのでそんなに心配はないはずだが……
「蒼、何かあった?昨日の夜中、途中何度も起きてたみたいだし…」
伊吹が心配そうに蒼の顔を覗き込む。
原因は多分、薬を飲みすぎた。
3回目飲んだ後から、次伊吹に起こしてもらうまでの記憶がない。
でも、こんなこと伊吹に言ったら心配させるから…
「大丈夫。今日は特別眠いだけだから」
そういうと、蒼は苦笑する。
「ねぇ、ちゃんと言ってよ」
伊吹は真剣な顔で蒼を見た。
やっぱり隠しても、伊吹にはわかるか…
「…。わかった…」
そんな伊吹の姿に、蒼も観念したようで、ポツリポツリと話し出した。
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