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第179話 記憶 ⑥ ー伊吹sideー
伊吹が指を入れただけで、中からはトロリと液が流れ出す。
「蒼……、早く……」
伊吹は熱を含んだ甘く淫靡な囁きをし、
いつもの初々しく恥じらいながら、蒼を見つめる伊吹の瞳ではなく、蒼の理性を蕩けさせるような流し目で誘い、
熱った伊吹の身体からは、濃厚なフェロモンが溢れ出る。
「伊吹……」
蒼が伊吹から目が離せずにいると、
「蒼…きて…」
伊吹が両腕を大きく広げると、蒼が伊吹をきつく抱きしめる。
「蒼…、俺、蒼と番になりたい…」
伊吹が蒼の耳元で囁く。
!!!!
!!!!
伊吹の言葉に驚き、蒼は目を見開く。
そして、はらはらと涙が頬を伝う。
「伊吹…本当《ほんと》…?」
「ずっと思ってた。蒼と番になりたいって…。だから、お願い蒼。俺と番になって…」
伊吹は蒼の頬を伝う涙を拭うが、蒼の瞳からは止めどなく涙が溢れる。
「なりたい。伊吹と番に…」
なりたい…
伊吹と番に。
伊吹以外、なにもいらない。
伊吹さえいてくれれば、それが俺の幸せ。
そうなればいいなと…
伊吹も俺と番になりたいって思ってくれていたら…
と、ずっと願ってた。
ずっと願っていた、その言葉を、今、
伊吹が言ってくれた。
『蒼と番になりたい…』と……
「蒼、俺だけ見て…。俺だけ愛して…。沢山…愛して…」
伊吹の瞳からも涙が溢れ、
「蒼…、一つになりたい…」
蒼は吸い寄せられるように近づき、伊吹の太腿を大きく広げると…
「はぁぁ……ぁぁん……」
ずぶりと伊吹の中に蒼の楔を挿れた。
ほぐしていないはずの後孔は柔らかく、だが伊吹の中は蒼の楔をきつく締め付けながらも、内壁は暖かく、蒼の楔を包み込みながらも離さない。
「蒼…愛してる……」
伊吹は幸せそうに微笑み、
「俺も愛してる…伊吹」
熱いキスをしながら2人は繋がる。
そして伊吹は溶けてしまうかと思うぐらい、優しく優しく蒼に甘やかされ、
濃厚で特別な時を過ごした。
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