192 / 194

第194話 秘密のお菓子パーティー ー伊吹sideー

「僕、こんな時間にお菓子食べたのはじめて‼︎」 目をキラキラさせながら、クッキーを頬張る来夢は、まるで遊園地に遊びに来ている子供のように嬉しそうだ。 「まだ沢山あるから、好きなの選んでね」 来夢のあまりの喜びぶりに、伊吹はクッキーの入った缶ごと渡してしまう。 本当は制限した方がいいと思うけど、 こんなに喜んでもらえると、なんでも許してしまいそう。 さっき頬張っていたクッキーを食べ切り、次のクッキーを両手に持ったまま、目はまたその次に食べるクッキーを探している来夢の姿が本当に可愛くて仕方ないと、伊吹は思ってしまう。 そして、来夢の笑顔を見ていると、さっきまであった『あの悪夢』の事は伊吹の頭から消えていくのがわかった。 「ねぇ、伊吹お兄ちゃんと今日いたお兄ちゃんはアルファなの?」 まだ5歳児の来夢から『アルファ』と言う言葉が発せられ、伊吹は驚いた。 たしかに来夢くんは自分がオメガだとわかっているから、アルファの存在も知っていると思うけど、その区別はどこまで知ってるんだろう? 「さっきのお兄ちゃん『蒼』っていうんだけどね、蒼はアルファだよ。でも来夢くんはどうしてわかったの?」 「だって匂いがしたもん。伊吹お兄ちゃんの事『大好き‼︎』て匂い」 来夢がニコッと笑うと、 「本当に⁉︎」 嬉しさと驚きで伊吹の目が見開かれる。 「うん。えーっとね…パパとママと同じ番《⚫︎》の匂いがしたよ。僕のパパ、アルファなんだけど、ママと一緒の時、蒼お兄ちゃんと同じ匂いがするもん」 あどけなく笑う来夢の表情に、伊吹は心の底から嬉しくなった。 番の匂いがあるなんて聞いたことないけど、そうやって言ってくれると嬉しい。 蒼から俺のことが『大好き』って香りがしてたのも、本当に嬉しい。 ずっと柚くんの事が引っかかって、蒼の事をちゃんと見れてなかったけど、俺と一緒の時は俺のことを好きだって思ってくれてるって思うと、心があったかくなってくる。

ともだちにシェアしよう!