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「――いや、やっぱり無理!」  自室でベッドに寝転がり叫んでから、聖は枕に顔を思い切り埋めた。  この日はもちろん、前日もその前の日だって当然のように抜いている。それでも、どうしても物足りない。体が疼いて仕方がないのだ。  日課である翌日の仕事確認をする前に、手元のスマートフォンでインターネットの検索画面を開いた。 「……個人情報厳守なそういう店とかないのかな」  抜きネタを検索することはあっても、そういった具体的な店を探すのなんて初めてだった。適当に、引っかかりそうな言葉を並べて、膨大な情報の海を泳いでいく。  相手が男性なのは前提として、特殊性癖なプレイ内容にも対応していて、セキュリティ管理などがしっかりしていそうな店が良い。逆に、相手のタイプだったり、金額なんかは後回し。  テレビに映る職業に就いている身として、コンディションを整えるためにも早く寝たほうが良いと理解はしているが、欲求不満を解消するのも必要なことである、と自分に言い聞かせる。  三十分程、さまざまな店のウェブサイトを覗き続けていると、ひとつだけ条件に当てはまった店を発見した。  秘密の共有、というコンセプトと共にシンプルなロゴで表示されたIMという店名。カウンセリングシートの記入により、好みの相手を割り当ててくれる上に、オプション料金込みでどんな特殊プレイにでも対応可能とか。  何より気になるのは、個人情報登録必須という記載。どういうことかと見てみると、なにかトラブルが発生したときのために、初回登録に身分証の提示と個人情報の登録が必要とのことだった。店員も客も、皆が安心してプレイが行えるようにという一文が最後に書かれていた。  ただ、金額がだいぶ高い。ネットサーフィンの結果、無駄に相場を知ってしまったのだが、イメージとしてはその二倍といったところだろうか。  スマートフォンを一度胸に乗せて、聖は目を閉じて唸った。  ――どうしよう、これは悩む。  個人情報を差し出すのは、だいぶリスキーなように思えた。聖の職業柄、尚更である。ただ、そういった管理が徹底されていない店に行くことにしたとして、万が一なにかのトラブルが起きたらと思うと怖い。  当然、そういった店に行かない決断をすることが一番良いことだと理解もしている。それでも、どうしても、試したかった。  さらに悩むこと十分程。聖は登録の問い合わせを入れることを決めた。  個人情報を出す前に見学可能、という記載も背中を後押ししていた。  一度見学に行ってみて、やっぱりだめそうだったら、そのときはやめよう。緊張しながらも、フォームに内容を入力していった。

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